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さぁさぁ笑って名探偵



さて、あのホームパーティから数ヶ月後、ゆきちゃん、英里ちゃん、小五郎くんは20になりまして、ゆきちゃんは女優を電撃引退&電撃結婚。
連日連夜ニュースや新聞、週刊誌を騒がせ、自宅にまで報道陣は押しかけてきてたらしい。

それを予測してか、既に結婚前に住居はあの、阿笠博士の隣に構え、正面から報道陣に二人で対応し、テレビで見る限りゲロ甘の世間も呆れるほどのラブラブぶりを放映させていた。

英里ちゃんと小五郎くんも先日学生結婚をし、英里ちゃんは変わらず法学部に、小五郎くんは警察を目指していた。

ゆきちゃんのお腹も、英里ちゃんのお腹も大きくなってきたってことくらいかな。

それを心配して母さんはよく2軒へ手伝いに行ったり、ゆきちゃんに関しては家に泊まったりしている。
まぁ、優作さんが執筆中は何かあってはいけない、と言ったからなのだが。

ちなみに私の方は既に阿笠博士へは挨拶済み。
今後必要となりそうな電波遮断を出来るようなものの開発だのを頼んだ。
ちょっと怪訝そうにしてたが、まぁ天才の娘だからで誤魔化せるだろ。

────────────なーんて、思っていたのがつい、2ヶ月前で、私は今病院に居ます。
5月4日。


「母さん、ゆきちゃん、いつ出てくるの?」

「あなたの従弟が元気に産まれてきたら出てくるわ」

あー、母さんめっっっちゃ微笑ましそうにしてる。私今生はちゃんと子供産めるかな。

いや待って?結婚できるかなの方がでかいよ。
女皇くんになったらシャレになんねぇ。

ゆきちゃん妹として可愛がってた父さんはソワソワしてるし。
私のときもこんなんだったのかな。
優作さんの方が落ち着いてんぞ。

「おい白樫。ソワソワすんな」

「いや、何回経験しても慣れないな……
出産を待つというのは」

「おめーんときよりはマシだけどな」

「え、これより酷かったの?
めちゃくちゃ鬱陶しいじゃん
ごめんね」

「マジでウザかった。泣いてたし
それで分娩室追い出されてたから」

「クソすぎウケる」

「美音ちゃん!?!?」

「パパうるさいよ」

「病院では黙ってよパパ?」

「ハハハ、あの天才白樫春彦監督も奥さんであるお義姉さんと娘である美音ちゃんには敵いませんか」

「優作くんは冷静だね……
立ち会わなくていいのかい?」

「彼女を信じてますから
それに、言われましたから
綺麗なところだけを見てほしいと」

「かぁっくい〜!」

「ママ!?」

「いやぁ、さすが有希子ね。
イケメン捕まえてきたわ」

「ちょっ!?」

そんなアホみたいなやり取りをしている間に

ギャッオギャアッ

と分娩室から大きく元気な産声が上がる。

「産まれた!」

「おめでとうございます!
元気な男の子です!」

「あっ
ママが走ってった」

分娩室に駆け込み

「有希子! よく頑張ったわね!」

と大声が響く。

「ちょこら弥生ちゃん!」

「ぎゃっ!? ごめんなさい!」

「婦長が居たんだ…」

そしてゆっくりとみんなで向かう。
皇くんはタバコを吸いに喫煙所に行くからパスらしい。
まぁ、別に血縁者じゃないのに父さんに引き摺られて来たしね。

「ゆきちゃんお疲れ様!」

「はー……ありがとうみぃちゃん」

「元気に生まれてよかったね」

「ええ」

「有希子。ありがとう」

「優作さん、私こそ、ありがとう
見て。私たちの子よ」

あらあら、いい雰囲気。
ここはお暇しますか。

「父さん、母さん」

「ええ」

「あぁ」

ちらりと見えた赤子の顔は、幸せそうに笑っていた。

さぁさぁ笑って名探偵

さて、私の戦いが始まるわ。

あなたの頭脳が必要よ。

名探偵くん。

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