鮮血色のビターチョコ
[list]
日本を発ち降り立ったアメリカ。
呼び出されたのは古い廃工場でそこには私よりも前に捜査官が待機していた。
『うぃーおっつかれさまでーす』
「早苗さん!」
『ようサナエ元気だったか?』
『相変わらずですよ
さて、後2時間もすれば赤井さん来ますし、
準備しましょうや』
『了解!』
『なんだ?現場指揮はお前か?』
『せいかーい!
あたしが指揮を執ります
御手柔らかに』
と恭しく早苗が礼をすると先輩捜査官たちがケラケラと笑う。
『御手柔らかに、はこっちのセリフだっての!
毎回えげつねェ作戦執りやがって!』
『もうちょっとヤマトナデシコ意識しろっての』
『ハッ!
弱くて守られてるだけの女なんてごめんよ!
それにね、今時大和撫子なんて日本にだっていないわよ。
昔っから女なんて強いの!
男を立てて女が三歩下がってるなんて百何年も前。その頃から男を立ててるようで裏で絶対的に力を持っていたのは女なのよ。
そんな風に騙されてちゃ玉の輿目当てのバカ女に引っかかりますよ〜っと、はい、配置図』
口端を引き攣らせる男達に現場の配置図をペラリッと配る。
『……ヤマトナデシコってこええんだな』
『日本の女性、気をつける』
「早苗さん、そんな脅さなくても……」
「あら、キャメルはえらく庇うのね〜
いい加減現実見ろってことでこれくらいで丁度いいわよ!」
ニヤリと笑い配置図を渡す。
「は、はぁ……」
『はい! じゃあ全員配置に!
相手は組織の幹部。何をするか予想もできないから最警戒体制で任務に当たるように。
命あっての物種よ。
名誉の為に死のうなんてやつは要らない。
全員生きろ! 死ぬな!以上!』
『『Roger!』』
ピシッと敬礼をした捜査官の前に立ち、堂々と言い切る彼女を軽視するものはここに居ない。
彼女の入局後にその強さに信頼も何もかもが課されていた。
同志として命すら預けるほどに。
『ま、私はこの任務が終われば晴れてまた皆さんと同じくして本局勤務になるので!』
『ゲッ!
また地獄の1000本投げ再開か!?』
『帰ってくんな!』
『え? なに? 5000本がいいって?
やだぁ〜そんなに期待されちゃ答えなきゃっ!』
『ばっかお前、なんで言うんだよ!』
『おれしーらね!』
『あっずりーぞ!』
到底今から命がかかったことが起こるようにも思えない。
カツンカツンと響く足音に全員がピタリと声を止める。
呼吸さえも慎重に。
自身らが感づかれるのは非常にいただけない。
気配を殺し、わざと存在感を放ちドラム缶に凭れて立つ長髪の東洋人───上司であるFBI捜査官、赤井秀一の気配の後ろに全てを隠す。
これが、組織に歯向かう、第1段階。
ミスは許されない。
ツッと米噛みから汗が一筋流れ落ちる。
目を閉じる上司に倣い、目を瞑る早苗。
気配を探る。あの、一度だけ見た黒く禍々しい、血の匂いを纏った気配。
組織に属している者特有の気配を。
「!」
一人の男が廃工場に入ってくる気配。
スッと目を開きその男を見据える。
思わず殺気をぶつけぬ様に。
さぁ、作戦開始だ。
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「さって、ジェイムズ」
「あぁ、ご苦労だったね、赤井くん、淺井くん」
「えぇ」
「で、どうするんです?
日本の拠点はまぁいいとして?」
「それなんだが、君ら2人にはこっちで任務に当たってもらう
赤井くんはNOCとして狙われることが間違いないだろうから、常に警戒を。
淺井くんは顔が割れてる可能性はある。
昔のこともあるからね。
2人1組でバディとして、まぁ、三年前と同様に頼むよ」
「「了解」」
「くれぐれも、気をつけるように
何をしてくるかわからんからな」
「分かってますよ
変装の名手に、冷血漢、凄腕スナイパーに殺し屋
厄介ですよねぇ」
「スナイパーなら大したことないぞ」
「いやそれ赤井さん基準でしょ」
さらっと言いのける赤井に呆れたようにため息をついた。
何はともあれ、早苗、赤井の両名は無事にFBI、アメリカ連邦捜査局に帰還したのであった。
帰還と私の新たな任務まさかその後三ヶ月後に言い渡された任務が本命とは思いもせずに
補足
『』は英語
「」は日本語
ジェイムズやキャメル、赤井さん、ジョディと話す時は基本日本語で。
ほかの捜査官交える時は英語を使用しますが、基本的に常に機密事項を話すので日本語固定多々。
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