鮮血色のビターチョコ
[list]
住居は二年前と同じく。
米花町。
組織の動きはまだ無い。
が、普通の人間を装うのはどうも苦手だわ。
「あれ? 流輝さん?」
「あ、蘭ちゃん、に、妃先生」
「お久しぶりね相良さん」
「はい、ご無沙汰しております」
「急にいなくなったからびっくりしたんですよ! いつの間に帰ってきたんですか!?」
「あれ?」
新一くんにこの間あったんだけどな?
「聞いてない? 新一くんと一昨日会ったんだけど」
「ええ!? 聞いてない!
新一のやつぅ……!」
なるほど、情報が行ってないのか、はたまたわざと言っていないのか。
「この間帰ってきたのよアメリカから。
色々仕事でね」
「へぇー! って、ちゃんと言ってくださいよ!
全く……新一といい流輝さんといい……」
「ごめんごめん!」
いつぶりだろう、ただこんなふうに心配されるなんて。
────帰ってこなければ死んだと判断して
そう言って、むしろそんな環境で生きてきたから。
消えた=死と結びつかない思考回路に少し戸惑ってしまう。
いけない、いけない、
そんなんじゃダメよ。
ここは日本。アメリカに比べれば平和で、
ここでは私は一般人なのだから。
△
[しおりを挟む]