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視線すらも奪って(青黄←赤/その他)
彼の目が好きだった。
澄み渡った金色。真っ直ぐとしたそれは太陽のように輝き、月のように暗闇に浮かび上がる。そんな瞳が、好きだった。
彼の能力が欲しい。そう思ったのはつい先日前。
たまたま戦場が一緒になった。上層部から出動命令が出て、その場に辿り着くと、既に戦っている彼の姿が目に入る。美しいと、直感でそう思った。
彼の能力は模倣。
周りに居る者達もそれは相当な猛者だという事は伝わってきていたが、彼の強さはその他大勢のそれとは比べ物にならないくらいのものだった。目を惹くほどの、美しさ。強さ。欲しい、と思ってしまった。
そんな彼は、今目の前に居る。仲間だと分かってからは実に無防備な、無邪気な少年だった。
彼の名前は黄瀬涼太、というらしい。
「綺麗な目をしているね」
ゆっくり近付いて、頬に触れる。その美しい目を丸くして小首をかしげる彼の目に指を伸ばし、そっと、その眼球を抜き取ってしまおう、そう思った。
「欲しい」
「え?」
「その瞳と、涼太の能力。興味深いんだ、凄く」
「…赤司っち…?」
「ねえ、その目、僕に頂戴」
「…ッ!」
瞬間身構えた涼太が逃げないように、能力を使って彼の体から力を抜いた。がく、と崩れ落ちる膝。彼の体が地面に落ちてしまわないように、腰にしっかりと手を回して支えてあげた。怯えと恐怖で満ちているその瞳が此方を見上げてきて、益々嗜虐心が湧きあがった。
彼の頬に触れて、びくりと震えるその感触を感じた。そのままするすると指を滑らせ、その黄金の瞳に、漸く手が届く―――
――瞬間、体に衝撃が走った。
「…っ、何…?」
数メートルぐらい地面を滑った。脇腹辺りに何か重いものが当たったような気がして、周りを見渡すと、自分の直ぐ横に小さな鉄の球が落ちているのが見える。
一体誰が、そう思い目線を前に向けると、そこに立っていたのは見慣れた人物だった。
「ったく、おまえ一人で出歩くなっつったろ」
「あお、っ」
「青峰大輝、邪魔しないでくれるかな」
落ちていた鉄球を拾って、再び投げつける。能力を使って強化されているそれは、青峰大輝に向かって真っ直ぐに飛んでいき、そして直前でぽとりと地面に落ちた。
「…てめえ、何のつもりだよ」
「別に。欲しかっただけだよ」
空気が軋むような感覚だ。相手から放たれる鋭い殺気は、戦場で感じるそれとあまり変わりない。ふ、と口元を歪ませれば、相手の眉間に深い皺が刻まれた。
「次、んなことあったら、仲間でも容赦しねーぞ」
「へえ。今回は何もしないのか?」
「してほしいのかよ」
よっと、と力の抜けてしまっている黄瀬を抱きかかえ、青峰は背中を向けて歩き出した。あまりにも堂々と背中を晒すものだから、はあと溜め息まで零れる。全く相変わらずだった。
「諦めたわけじゃないからな」
「!」
「とられるのが嫌なら、守ってみせろ。大輝」
「…言われなくても」
やってやるよ。
自信たっぷりに言われた言葉に、これから楽しくなりそうだと、口元を歪ませた。
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ファンタジーっぽいパロ。能力っていうか魔法使える感じの。
これも若干長めだけどこっちに…!
comment:(
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2013/04/16 22:17
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