≪黄昏≫
(2/4)
日が落ちようとしていた。
窓から見える夕焼けはどこか色褪せていた。
(どうして)
一緒に暮らしている少年と愛犬はまだ帰ってはこない。
今のうちに夕食を作っておこうと台所に立った。
(こんなに)
あたたかい夕凪が流れ込み、前髪を優しく揺らした。
金色がちらちらと視界を遮った。
(さびしい、んだ)
こんな薄っぺらい金色じゃなく、
もっとたくましい黄金を知っている。
もっと柔らかい蜂蜜色も
細く艶かしい赤色も
強い意志を持つ黒色も、
知っている。
もう会えない、愛しい色たち。
(さびしい)
(なんて)
(言えやしない)
(けど)
いつだって空の上には
あの飛行船が浮かんでいるんだ。
窓越しに沈んでゆく夕日を看取って、
今もどこかで暴れているであろう
黄金の獅子のことを想った。
***
南国〜PAPUWA時代のリキッド。
改めて考えると、俗世を捨てて不老不死になるってすごい。
自分なら気が狂う自信がある。
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