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「で、また読んでるのソレ」
「今日は違うやつだよー?」
「タイトルは?」
「本当にあった学校の七不思議」
…いつもと同じじゃないの
そう思ったけど口には出さなかった。
めんどくさいから。
陽菜は意外とオカルトの類いの話が好きらしく、よくこういう本を読んでいる。
いつだったか、こっくりさんにも付き合わされたこともあった。
当たり前だが10円玉はぴくりとも動かなかったけれど。
「この学校七不思議ないもんねぇー…」
「あるじゃん!」
突然、聞き覚えのありすぎる声が聞こえて振り返る。
案の定そこには焼きそばパンを頬張る幼なじみがいた。
「あのね恭平、歩きながら食べないの行儀悪いよ」
「母親かよお前」
けらけら笑うバカに少し殺意が沸いた。
それに気付いたのか、わーかったからと言いながら隣の席に座った。
「で、なんの話だっけ?」
「七不思だよ七不思議!!」
お願いだから机をバンバン叩かないで欲しい。
「ほら、あれだよ。東のアリス」
「あぁー東のアリスかぁー…」
恭平の言葉に陽菜が微妙な反応を示した。
いや、それより
「東のアリスって?」
「涼ちゃん知らないの?」
「知らない」
「涼華は知らないというより興味ないんだろー」
「よくご存知で」
「幼なじみなめんなよー!」
「で、東のアリスってなに陽菜」
え、無視?無視なの?と騒ぐ恭平にチョップを入れて陽菜の方を向く。
「職員室の隣に階段あるでしょ?」
「あるね」
「あの階段の3階の踊り場にアリスの絵があるの」
「アリスってあのアリス?」
「たぶんねー
で、その絵が東のアリスって呼ばれてるんだ」
「へー」
滅多にあの階段を使うことはないから知らなかった。
「でね、その東のアリスの前で夜の11時11分11秒にジャンプすると扉が開くんだって!!」
「……はぁ?」