どれだけ嘆いても

笑って泣くのが普通なのだ
笑い方のお稽古もせず
涙を流す術もならわず
隣のあの子は笑って泣いている

じいっと眺めてみていても
私は一向にわからない
そっと耳を澄ませてみても
私はこの世がわからない

自分に自分を投じることもできない者が
どうして他人に自分を投じることができようか
自分が一番に可愛いのに 自分を可愛がることもできないのに
なぜ他人のことなど想えようか

自分を愛していて
自分さえ良ければ全て良い
自分を傷つけるものが嫌いで
自分を護れる道具に金を払う

そうやって生きていたいのだ
それ以外は総て無駄なのだ

だけれどあの子と目が合って
はっと驚いた顔を見せた時に
顔の右側だけをひきつらせ
私はにいっと笑うのだ

どれだけ嘆いても
私はこの世に生きてしまった

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