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「話し中、悪いね」

アラジン達がいる部屋へ突然現れた、シンドバット。

その姿をみた霧の団の数名が、戦闘態勢に入ろうとするがそれをカシムが手で制した。

そんなカシムのもとへシンドバットは近寄って、彼の前でピタリと足を止めた。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

お互い、無言のまま見つめている。

それはお互いにシンドバットをカシムを見つめている訳ではなかった。

目を見ていた。これから先、言う事に嘘偽りはないか見極めるために・・・。

そして、シンドバットは口を開いた。

「君たちが求め続ける、アリババくんについて教えてくれないかい?」

「・・・・・・・俺はこの前、アンタに行ったハズだぜ。これは俺らの国の問題だと」

カシムは先ほどの笑みを消して、厳しい顔でシンドバットを見つめていた。

「そう言う訳にはいかない。俺はシンドリアの王として同盟国のバルバットで何が起こっているのか知りたいのだ。」

「王」とその単語を聞いた瞬間、カシムは目を見開いた。

後ろに控えている霧の団のメンバーもザワザワとした。

カシムは真っ直ぐシンドバットの目を見た。

数秒、目を見つめて真実を確かめたのか。大きくため息を吐いて行った。

「王様の命と言われちゃ、叶わねぇな。」

「カシムッ!!」

霧の団の仲間を止めるように叫ぶが、カシムはやめようとはしなかった。

「アラジンと話の途中なんだ、そっからでもいいかい?」

そう聞いたカシムにシンドバットはホッとしたような顔をしてニコッと笑った。

「あぁ、構わない」

カシムはシンドバットから視線を写して、アラジンを見た。

「アラジン・・・。」

カシムに呼ばれ、アラジンは首を傾げた。

「なに?」

「さっき、俺とアリババは兄弟のように育ったて言っただろう。」

「うん。」




だけどな、俺はアリババと自分の差を見せつけられる瞬間があったんだ。

それは根本的な問題だった。・・・・両親の違いを見せつけられた。

俺の親父は本当に人間のクズでよ。

酒がないといつも怒鳴り散らして俺と妹のマリアムを殴っていたよ。

そんな俺たちを救ってくれたのはアリババの母さんだった。

「アリババ君のお母さん!」

そう言うアラジンにカシムはほほ笑んだ。

「あぁ、本当に優しくていい人だったよ。」

アリババの母さんんは俺たちを何時もあの親父から守ってくれた。

それに俺が盗みをした時、親でもしない事をしてくれた。

そんな俺たちはアリババの母さんを好きだったし、なによりアリババは母親を好いていた。

クスッとそこでカシムは笑った。

「髪の毛を褒められただけで、アイツは髪を伸ばしだすんだから相当だったと思う。」

そう言って笑うけど、どこか悲しそうな顔をするカシムに誰もが口を出せなくなった。

でも、そんなある日にアリババの母さんは死んでしまった。

その日、初めて見たよ。アリババが泣く姿。

俺はその日決めたんだ、俺がアリババと妹のマリアムを助けてやろうって。

でもな、俺がアイツらの為だと思ってやろうとする盗みをアリババは許そうとはしなかった。

逆に俺が引き入れた近所の悪がきどもの面倒を見ていたな・・・。

そう言ってカシムが後ろの霧の団のメンバーを指した。

「それがコイツら・・・。」

それを聞いてアラジンは嬉しそうに笑った。

だけど俺はそんなアリババを見るたびに苦しかったよ。

血の差を見せつけられているみたいで、アイツはまっとうな人間から生まれたんだと言われているみたいで。

だから・・・俺はある日アリババにそれをぶつけたんだ。




『カシム、俺と一緒にバルバット観光案内でもしないか?』

その日はいつも通り、アリババが俺にまっとうな仕事を誘ってきた日だった。

俺はその時、悩んでいたからその言葉を聞いてついカッとなって叫んだんだ。

「俺はお前とは違うんだッ!!」

いきなり叫んだ俺にアリババは驚いた顔をしていたけど、俺の目を真っ直ぐ見ていたよ。

『何が違うって?』

「俺は優しい母親の血を持つお前と違って、あの親父の血が流れているッ!!だから違うんだよ!!お前と俺は考える事が違うッ!!」

「お前と俺じゃ、流れる血が違うんだよ!!」

『ふざけんなッ!!』

アリババは怒ってたよ。

結構本気な目をして俺を見ていた。

『人間の体はただの入れ物だ。それを動かすのは血でもましてやお前の父親でもねぇ!!』

そんなに本気で怒るアリババを見たのは初めてで俺は珍しく慌ててたよ。

「じゃぁ、なんだっていうんだ?」










『テメェの魂だろうが!!』

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