4 空と君との間には





空条承太郎は泣いていた。

今日は幼馴染の綾部沙羅と遊べると募る気持ちを抑えられず、母親を置いて一人で公園で向かった。

だがそれがいけなかった。

承太郎が向かった公園にはボス的な少年、いわゆるガキ大将だ。

そんな肩で風を切るようなクソが…失礼、子供の目の前に現れた3歳の少年に目をつけない訳には至らなかった。

そして、まぁ典型的にここは俺の縄張りだぞ的な事を言って承太郎に詰め寄った。

承太郎はこの3年間に面識のある人物はごく少数でしかない、しかも子供というのは沙羅ただ一人だけだ

そんな承太郎の前に現れたのは自分の背丈よりはるかに大きい少年しかも多数とくれば、恐怖が底から湧きあがり彼は泣くしかなかった。

「うわーーーーん!!」

泣きだした承太郎の姿を見たガキ共はなんとも言えない高揚感につつまれ、気が大きくなっていた

さぁ、次はなにをしてやろうと心のうちで思いながらその手を承太郎に触れようとした瞬間だった

『アンジェ!!』

咄嗟に聞こえたその声に少年の手はピタリと止まり、その方向を見た。

そこには一人の少女の姿があった真っ直ぐとこっちを向くその青グレー色の瞳に目を奪われた

そうガキ大将は一瞬でその少女に見入ってしまう

「さーちゃんッ!!」

目の前の少年もとい承太郎がそう言って走り出して少女に向かって走り出すのを見てハッと現実に戻される

「ま、待て!!」

そう言って掴もうとした時にガキ大将は動きを止めた

彼の視線の先にはその少年を目に止めて花開くようにほほ笑む少女の姿に少年は少女に一目ぼれしたのだった

だが承太郎がその少女に抱きつくのを見て一気に感情が嫉妬に変わり声を上げた。

「オイッ、お前!!」

声を上げるは少女の視線はいっこうに見ようとしない

その瞳に写すのは承太郎のみである

更にそれが少年の嫉妬心をあおるが、少女はまるっきり無視を決め込んでいる。

そして少女は承太郎と2、3言葉を交わし、承太郎は上機嫌でその場から去って行った。

その姿を少女は見送り、そしてやっと少年を見たのだった。

先ほどの優しい瞳ではなく、冷たい目で…。

その子供とは思えない冷たい視線をうけた少年たちは「ヒッ!!」と怯えの声を上げた。

そして少女は笑う。

『私と一緒に遊びましょう?』

ガキ大将の頭の中ではアラームが鳴っていたが、断る術を少年は持っていなかった。

そして少年の甘酸っぱくなるはずの初恋は、血としょっぱい味のする初恋になった。









君が笑ってくれるなら

(私は悪にでもなる)

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