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「よっこらせ」

そう言って酒樽を肩に担いで俺は躊躇なく砂漠ヒアシンスの元へと降り立つ。

上からはさまざまな人の悲鳴や静止の声が聞こえるが、無視無視。

ある程度、砂漠ヒアシンスと距離を縮めれば女の子と目があった。

顔は涙でグチョグチョになり、必死に手を伸ばす少女に俺は安心させるように笑った。

『大丈夫、絶対助けてやる。』

そう言えば少しは少女の緊張も解けたのか表情が若干だが柔らかくなる。

その顔を見てホッとして、そして俺は砂漠ヒアシンスを見据えた。

そして肩に担いだ酒を持って振り上げる。

『喜べ馬鹿。お前の酒が人の役に立つんだからな!!』

と言っても自分で気絶させたから聞いてるわけないんだけどさッ!!

そう思いながら酒樽を思いっきり砂漠ヒアシンスに向けて投げた。

そうすれば砂漠ヒアシンスは「ギィイイ」と苦しそうに泣く。

これでも無駄に旅をしていたわけじゃない、肉食植物は酒に弱いと知っている。

間髪入れずに砂漠ヒアシンスに近づき子供を抱き上げる。

後は上に向かって無我夢中で走る。

走りながら腕の中で震える少女に声をかける。

『がんばったな』

腕の中のか弱い少女をギュッと抱き締めた。

少女を母親の元へ連れて行けば、母親が少女を真っ先に抱き締める。

少女もやっと母の胸のなかで安心したのか、せきを切ったように泣き始めた。

『・・・・・・・。』

そんな姿を見て遠い日の自分と母の姿をおもいだした。

「アリババッ!!まだだ!!」

その言葉に弾かれるように振り返れば、目に入るのは砂漠ヒアシンスの触手だった。

触手は伸び、自分と親子に向かってくるのが分かった瞬間に体は動いた。

親子を突き飛ばし、自ら触手に絡まれた。

グイッと体が陸地と引きはがされ、驚く人々の顔を見ながら離される。











「おにいさんッ!!」

先ほど出会ったアラジンが俺に手を伸ばしてくれるが、届かず引きずり込まれた。

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