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ジョセフ・ジョースターは目の前の男を睨み付けた。

彼の名前はストレイツォ、ジョセフが家族と認めるスピードワゴンを殺した男だ。

スピードワゴンが死んだニュースはマフィアから聞いた。

それを聞いたジョセフの祖母のエリナ・ジョースターは震える体を抱き締め「あぁ、ジョナサン。ジョナサン」とそう呟きを残したのであった。

そして彼の前に現れた一人の若い男。

それがストレイツォだった。

本来、ストレイツォはスピードワゴン、エリナと同じ年齢だ。

いくら波紋の力で若いと言っても外見の年齢はとても20代とは言えない。

だがジョセフの目の前に立っている男は明らかに青年と言っていい姿である。

だけどジョセフは彼を一目でストレイツォだと見破った。

石仮面が…吸血鬼となった男が若返ると彼は知っているからだ。

そして対面した次の瞬間、ジョセフはストレイツォに向かってトンプソン機関銃をぶっ放し、手りゅう弾で木端微塵にしたというのに

さすが化け物と言うか、まったくピンピンしている。

それどころか見ず知らずの女を人質にしている。

その行動に心底吐き気を覚えたジョセフは只々、ストレイツォを睨み付けた。

「ジョジョ、お前に聞きたい事がある…お前の祖母は何処だ?」

そう言われてジョセフは怒りを仕舞い込んで、いつも通りにおちゃらけた笑顔を向けた。

「何を言っているストレイツォ、俺がエリナお婆ちゃんの居場所をお前に言うとでも思っているのか」

そうビシッと決めたジョセフだったが、ストレイツォはその答えに高らかに笑った。

「フフ、ハハハハハハハ!!」

「な、なにがおかしいッ!!」

突然笑い出す彼にジョセフは機嫌を悪くした。

「お前は18年前の父親同様、何も知らないんだな」

そう言ったストレイツォの言葉にジョセフは眉根を寄せた。

なぜそこに自分の父の話が出てくるのだろうか・・・。

「私が聞いたのはジョナサン・ジョースターの事だ」

そう言われて笑ったのはジョセフの方だった。

「何を言ってんだストレイツォ、ついに頭がイカれたか?ジョナサン・ジョースターは俺の祖父だ!」

そう断言したジョセフにストレイツォはまるで小さな子供が聞き分けが行かなかったときのような表情をした。

その顔がプライドが高いジョセフを逆なでする行動になるのを彼は知らない。

「それではお前でさえも彼女の場所を知らぬというのか…では、お前を殺して。怒り狂って俺に会いに来るように仕向けるしかないだろうか…お前よりエリナを使った方がいいだろうか。」

そう言って何やら考え込んだストレイツォ、その発言は謎ばかりだ。

彼は確実な根拠を持っているとジョセフは感じたからだ。

「どういう事だ!ストレイツォ!!」

「・・・・・・どうも何も、お前の祖母の名前はジョナサン・ジョースター。彼女はれっきとした女だ。そして私の愛しい人でもある。」

そう言って恍惚の表情をしたストレイツォを見た瞬間、ジョセフの体にゾワゾワと何かが走ったような不快感を感じた。

そんなジョセフの姿を見てストレイツォはニィッと笑った。

「18年前のお前の父親もそうだったな。自分の産み母をエリナだと思っていた。だから私が真実を教えてやった。お前の本当の母はジョナサン・ジョースターだと」

そんな話はとても信じられるものではない、ジョセフは叫んだ。

「ウソだ!ちゃんと写真だってある。ジョナサンは俺の祖h「ジョナサンは子供の頃は男として育ったのだ。お前は見たことがあるのか?子供の頃以外のジョナサンを・・・不思議には思わなかったのか?なぜ祖父の大人の写真が一枚もないのかと・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」

それは図星だった、なぜたった一枚の写真しかないのか?

祖母の・・・エリナの写真は沢山あると言うのに、祖父の写真は一枚もないのだ。

エリナは「写真が嫌いな人だったのよ。」と言っても、結婚式の写真ぐらいは撮る物だろう。

そう思っていたジョセフの一つ一つの謎は、つじつまが合って行くのである。

そんな真実を突然聞かされたジョセフは冷静を保つことは出来なかった。

呆然とたつジョセフにストレイツォは女を手放してジョセフに一瞬で近づいた。

ハッとジョセフが反応した時にはもう遅く、ジョセフの腕はストレイツォの驚異的な握力で動かなくなった。

ズイッとストレイツォは顔をジョセフに近づけた。

そしてジョセフの顔をその冷たい指でツツッとなぞった。

ゾワゾワとジョセフの体は鳥肌が立ちっぱなしである。

「殺すのはやめよう。…お前はあまりにも彼女に似ている。私の血でも与えようか・・・。」

そう言ってストレイツォは自分の手を噛み切って、血をジョセフに飲ませようとした時だった。

ピタリとストレイツォの動きがまるで時間が止まったように止まったのであった。

ジョセフはその様子に驚きながらも、自分自身を拘束するストレイツォの力が弱まったのを感じ取ってすぐさまストレイツォから逃げた。

目の前で逃げられたと言うのに、ストレイツォはジョセフを追う素振りも見せない。

「おのれジョナサンッ!やはり守りをつけていたのかッ!!」

そう言ってストレイツォは暴れようとするが、動かない。

それを見てジョセフは思った。まるで・・・なにかに拘束されているようだと。

でもジョセフの目にはなにがストレイツォを拘束しているのか見えなかった。

そんなジョセフをよそにストレイツォは必死で何かから逃げようと必死にもがいているが、それどころかジョセフに触れようとした手が、若々しかったシワの一つも無い手だったのにそれは段々と元の姿に戻って行った。

それを見てジョセフは驚いたし、当の本人であるストレイツォも驚いていた。

そして尋常じゃないくらいに動揺していた。

「や、やめてくれッ!ジョナサン!私は人間にも、老いたくもないのだッ!!」

そう叫んだストレイツォは自分の体が動けることになったのを気づいたとしても今彼の頭にあるのは老いに対する恐怖のみだ。

そんな彼の体にジョセフは一瞬だけだが何かが巻きついているように見えた

「やめてくれッ!!お願いだッ!!」

悲痛に叫ぶストレイツォ、だが彼の老いは止まらない手から始まったものは段々と範囲を広げ、ついに顔にまで達した。

その顔はジョセフがよく知る顔になったのである。

ジョセフはそれに目を見開いてみた、それに耐えられないストレイツォは自分の顔を隠すように手を覆った。

「やめてくれッ!!やめてッ「お、オイッ!!」

その場から逃げようとして走ったストレイツォを見て、とっさにジョセフは止めるように声をかけ、そして手を伸ばそうとした。

だけど声も手もストレイツォに届く事はなく、彼は橋の上から落下したのであった。

「ジョナサァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!」

悲痛な叫び声をあげてストレイツォは暗い闇の中へと消えてったのを見たジョセフはこの短時間で起きた出来事に頭が付いて行かなくなった。

だけど彼が立ち止まっている暇はなかった。

人質になっていた女の声にも、スモーキーの声にも反応しないジョセフはただ足を動かすだけだった。

真実を確かめなければいけなかった。




「ばあちゃんッ!!どういう事だ!!」

バンッと大きな音を立てて開かれた扉には孫のジョセフが慌てている姿を見た。

そして大きくため息を吐いて、言った。

「ジョセフ、あなたは何度言ったら分かるのですか?扉はあれほど静かに開けなさいと「ばあちゃんは俺の本当のばあちゃんじゃないのか?」・・・・・・。」

言葉を遮られ、言われた言葉にエリナ・ジョースターの動きが止まった。

そして先ほどと同じように大きくため息を吐いた後、真っ直ぐにジョセフを見た。

「そう、ストレイツォが言ったのね?」

エリナはジョセフの発言により、ストレイツォの仕業だと瞬時に理解できた。

彼の目を見れば、不安の色が見えて申し訳ない気持ちになった。

エリナはジョセフの心が見えるようだった、それは18年前の息子にも向けられた視線だったからである。

「そうです。」

「ッ!!」

でもエリナの口からは彼の望む答えは出る事はないのだ。

だって・・・・。

「貴方の本当の祖母はジョナサン・ジョースター」









「私の唯一無二の親友です。」

彼は正真正銘、ジョナサン・ジョースターの孫なのだから・・・。

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