17(シリアス版)





ドスッ!!

肉を切る嫌な音が響いた。

『あ“ぁああああああ!!』

右手に埋まるナイフを見て瞬時に激痛が走った。

やばい、尋常じゃない痛さだ。

ディオがそれを見てニヤッと嫌な笑みをする。

私はそのままディオを蹴り飛ばす。

ナイフはディオが掴んだまま抜かれ、ズボッと音を立て抜けた。

『う“ッ!!』

抜く方がもっと痛い、血がとめどなく溢れ滴り落ちる。

ディオは突き飛ばされ、後ろの窓に叩きつけられた。

「奴を射殺しろッ!!」

警官の合図とともに、ディオに向かって弾丸が飛ばされた。

私は奴の事なんて見ないで、崩れ落ちる父を抱きかかえた。

『父さん!!あぁ、そんなっ!!』

こんな筈じゃなかった。こんな筈じゃなかった。

助けるはずだったのに、私は一体何をしている!!

後悔の念しか私の心にはない。

動けることが出来なくなった私を父は優しい目で見つめてくる。

父は震える手で私の頬を撫でた、なんと優しい顔で。

「ジョジョ、死んだ母さんの指輪だ。お前が結婚する時に渡そうと思っていたが・・・今、お前に渡そう」

父は私に指輪を預け、手がダランと床に落るところを私が咄嗟に受け止めた。

『大丈夫、絶対助かる。だって私が手を入れたんだもの!!大丈夫、絶対に・・・・』

「ジョジョ、ディオを恨まないであげなさい。あの子は不器用なだけで…お前を本当に愛している。それに私は気づいていながら・・・あの子になんて酷な事をしてしまったんだ。」

そう言いながら父の声はだんだんと力のないものに変わっていく。

そんなハズはない、私の手があったらか急所まで入ってない、入ってない。

何度そう言い聞かせても不安は消えることはない。

父は私の指された右手を見た、悲しそうに言った。

「お前の綺麗な手が・・・すまない、ジョジョ。お前の花嫁姿が見たかった」

そう言って、スッと私の手から父の手が滑り落ちた。

『・・・・・・・・・。』 

どうしてこうなった?

私の何がいけなかった・・・。

なんで、なんで、なんで、なんで、なんで。

私の回りがディオが起き上がっている事に驚くがそんなのどうでもいい。

警官の頭部が吹き飛ばされようとどうでもいい。

私はスクッとその場で立ち上がって、もう人ではないディオを見た。

楽しそうに笑うディオをみて私の感情は後悔の念でしかない。

私は口を開いた。

『私が一体お前になにをした?』

「・・・・・・・・・。」

『家だって財産だって地位だってお前が欲しければ譲った。お前のやる事だってほとんどの事を目をつむったのに・・・』

私がそう言えばディオは首を横に振った。

「違うなジョジョ、逆だよ。君は俺に何もしなかったのが問題なんだ」

ディオは私の顔をみてニィッと嫌な笑みで笑った。










「俺はお前の苦痛にゆがむ顔も、殺気だった怒りの顔もすべて手に入れたいだけだ。」

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