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私は本をパタンと閉じた。

そして視線をディオに向ける、彼と二人きりで顔を合わせるのは本当に久しぶりだ。

ディオは今日は数年前のふてぶてしい態度とは打って変わってなにか神妙な面持ちで私の元へやってきた。

「やぁ、ジョジョ」

その声がどこか緊張を帯びていて私は疑問に思う。

(何に緊張しているのか?)

『やぁ、ディオ。久しぶり、君とこんな風に話すのは・・・でも、もう当分会えなくなるか』

そう言うとディオは急に大人しくなる。

頭で疑問に思いながらも私は話を続けた。

『トムの家はアメリカだから、当分会えなくな「その事なんだが、ジョジョ」・・・なんだい?ディオ』

私の話を遮って、ディオが話す。

昔の自分なら完全無視で話を進める所だが、なぜだか今日のディオが弱気で調子が狂ってしまう。

(どうしたというのだ?)

ディオは立ったままの姿勢から私の目の前にある椅子に座った。

お互いの目線があって、ディオが口を開いた。

「お前の・・・フィアンセのあの男。お前に相応しくない」

『え!』

どうゆこと!

まさかそんな言葉がディオの口から出るとは思わなかった。

だって彼は私をとっとと家から追い出したいハズなのに、なんでわざわざ引き留めるような事を・・・。

ハッ!!まさか私を本当にどん底に突き落とすつもりなのか・・・どこまで汚いんだ。この変態!!

「あの男はお前の事なんてこれぽっちもお前を愛していない」

うん、偽装結婚だからね。

「あの男は自分が財産を貰いたいがために結婚するんだ」

うん、そうゆう契約だからね・・・てかお前も似たようなってか、つうかそれ以上の事をしようとしてるじゃねぇか!!

「あの男は同性愛者だぞ」

うん、トムの彼氏はイケメンだよ。

『話ってそんな事?だったら意味ないわ。あっち行って』と言おうと口を開こうとしたのに、目の前にはディオの顔が・・・。

近っ!!顔が近いッ!!と言いそうになるが、ディオの目が悲しそうな顔をしているのが分かった。

(本当になんでこんな顔するの?)

謎に思っている私の手をディオは優しく包み込んで持ち上げる。

「俺にしないか?」

(えっ!!)

「俺と結婚すればお前も態々アメリカに行かなくて済む。父親だってずっと一緒にいられる、お前の好きなようにさせてやる。だからジョジョ・・・・。」

(えっ!!えっ!!どうゆう状況?なんかアンパンマンフラグじゃないけど、のそれ以上の恐ろしいフラグが立っているんですが!!・・・えっ!何処?何処でそんなフラグ立ったの?えっ!!あのエリナの事件の後!?あの後って・・・えっ!ディオってMなの?ドMなの?こわッ!!余計にこわっ!!)

なんて頭で葛藤している私を無視したディオは私の手にキスを落とした。

その姿はまるで騎士が姫に送る忠誠の証のように、らしくもなく跪いている。

私を見上げるその表情は不安と期待に満ちた表情をしている。

その表情を見た私はその顔に見入ってしまった。

彼のこんな明らかな人間らしい顔を初めて見たのだ・・・・。

「・・・・俺を好きになれ」

『な、何を言って・・・あり得ない!!』

思わず心の声が少し漏れてしまう。

あり得ないとまで言われたのに、ディオはただ一心に私を見つめる。

やめろ、そんな子犬みたいな目で私を見るなッ!!なんか私が悪い奴に見えるだろうが!!

「お願いだ、ジョジョ」

懇願するような熱っぽい声を聴いて、途端に恥ずかしさが押し寄せて自分の顔が熱くなるのを感じた。

そんな顔、絶対に見せてやるかと私は顔をそらす。

ディオをこれ以上見てしまったら私は言えなくなってしまうと、本能で感じたからだ。

(断れ、断れ!!早く断れ、私!!)

頭ではそう思っているのに、私の口は一向に動こうとしない。

(口よ早く動こけ、言うぞ。言ってやるんだ。だが断る!!的な感じで言ってやるんだ!!)

そう思って口を開こうとした時だった。

「そこまでだ。ディオ・ブランドー!!」

スピードワゴンの声と共に、大勢の警察が部屋に入ってくる。

その中にも父の姿があった。








タイミング、悪ッ!!

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