28 人前はさすがに恥ずかしいさ



『私を人殺しの動機にしないで。』

ポルナレフはその瞳を見て何も言えなくなってしまった。

ブルーグレーの瞳が彼を離さなかったのである。

『迷惑よ』

そう沙羅はハッキリ言った。

その言葉にポルナレフはショックで何も言えなくなった。

反論する事さえ許さないように、強い眼光で見つめられたからだ。

ポルナレフは自分の事が情けなくなって顔を俯かせた。

今まで自分がやって来た事は自分自身のエゴで誰の為ではなかったのだ。

そう思った途端、彼は悲しくなったのである。

だがそんな時、彼の肩がジンワリと温かくなった。

『・・・・・・・・でも、ありがとう。』

その言葉が聞こえた瞬間、ポルナレフはバッと顔を上げて沙羅を見た。

彼女はさっきまでの厳しい顔ではなく穏やかな顔でポルナレフの方に手を置いて言った。

『私の事を心配してくれて、戦ってくれて・・・ありがとう。』

ニコリと笑う沙羅の顔を見て、ポルナレフは固まった。

『貴方一人に背負わせてごめんなさい、もう大丈夫よ・・・』

『今までありがとう』

たった一言にポルナレフは涙を流した。

さっきまで自分の思っていた事を彼女は覆させて優しくほほ笑んでいる。

ポルナレフはボロボロと泣いた。

それを見て沙羅はまた笑った、それを見てポルナレフは固まった。

その笑顔があまりにも綺麗だったから・・・・。

彼は我慢できずにその場でたちあがる。

「沙羅さんッ!!」

そう言って沙羅に抱きつこうとようとして腕を伸ばした。

そんな瞬間だった。

「オラァ!!」

ドゴォオ!!

「グフゥ!!」

見事な一発がポルナレフの顔面に入った。

あまりにも突然な事だったので、彼はスタンドを出現させる前に殴られた。

その声はあまりにも聞き覚えのある者で、そしてその声色は明らかに怒りが含められていて吹っ飛ばされた先にいた花京院を見れば「自業自得だ。ポルナレフ」と言って助ける素振りもない。

ポルナレフはギギギとまるで壊れた人形のようにぎこちない動きで振り返った。

「よぉ、ポルナレフ・・・・。」

そこには我らが空条承太郎様がそこに居たからである。

しかも明らかにキレてると分かるオーラ付である。

(えっ!俺なんかしたか?)

と思わず口にしそうだったが、彼は瞬時に自分の置かれている状況を判断して口を閉じた。

懸命な考えだ、口にしていたら今頃・・・・・・・言わないでおこう。

そんな険悪なムードが一体に立ち込めているというのに、一人の声がすべてぶち壊した。

『あれ?アンジェ、どうしてこんな所にいるの?』

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

声を発したのは花京院であった。

彼は沙羅が言った言葉について思わず声を漏らしたのであった。

今、目の前の女性は誰に向けて「アンジェ」と言ったのだろうか?

答えは明らかだ、そんなの一人しかいない。

そんな花京院の様子を気づいてしまった承太郎は凄く嫌そうな顔をして沙羅に言った。

「その呼び方、辞めろ。」

それを見た花京院は自分の腹の底から湧きあがる物を感じた。

必死にそれを押しとどめようとするが、それはどんどんと彼の喉元へと迫ってきていた。

そしえ極め付けの一言であった。











『え?・・・・私の天使なんだから、アンジェって言って何がいけないの?』

抑えていた者が一気に爆発し、花京院は大爆笑した。

それを見た承太郎は凄く嫌そうな顔で、沙羅は?を頭に浮かべていた。

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