22 そこに残ったもの





あれからアンジェとは会っていない。

それは私が仕事続きってのもあったし、アンジェが自分から拘置所に居座っているのもあった。

別に顔が合わせずらいとかそうゆう訳ではない・・・・たぶん。

それにしてもどうしてアンジェは自分から拘置所に行ったのだろうか?

そんなに居心地いいのだろうか・・・今度遊びに行ってもいいかな?

なんて思っていたのだが、急にアメリカ本店にいる仲間から急遽コレクションに出ると決定したらしく服を作れってれと連絡があったのでまた私は缶詰状態となった

今回は空条家ではなく、連絡を取りやすい支店で作ることになった。

つか、今日中に5着の服の案を出せってどうゆう事だ!!

そんな事を思いながらガリガリと案を考えては書いて行っていると電話が鳴った。

『はい。もしもし?』

「・・・・・沙羅」

ビクゥッ!!

聞き覚えのある声に一気に背筋が伸びた。

『あ、アンジェ?』

いかん、いかん。冷静になれ私・・・。

アンジェが私に電話なんて珍しい、何かあったんだろうと思って私は口を開いた。

『何かあった?』

そう聞いてもアンジェからの返答はしばらくなかった。

その様子に私は何かあったんだと悟った。

だって生まれてきてから一緒なんだもの、それぐらいの変化は分かる。

今からそっち行くって言おうとする前に電話から声が遮った。

「沙羅・・・俺はしばらく家を留守にする。」

その言葉に私は胸騒ぎをした。何か嫌な予感がしたから・・・。

私は恐る恐るアンジェに聞いた。

『留守って・・・どこかに行くの?』

「あぁ、俺のジジィとしばらく外国に行ってくる」

アンジェのお爺さんは過去にまだアンジェが生まれたばかりの頃に一回会った。

大きい人だったと今でも記憶している。

その人となぜ急に旅行?と思ったが私は口には出来なかった。

アンジェが言葉を発したからだ・・・。

「じゃぁな、沙羅」

その言葉に私は焦った。

『ちょ、待ってガチャ・・・プー。プー。




ガタっ!!

「沙羅さん!?」

『ごめん今日は帰る!!』

電話が切れたと認識したと同時に私は駆けだした。

何年ぶりかの全力疾走にもう体は音を上げようとしているが、無視して私は走り続けた。

私の胸はバクバクとなっているがそれは走っているだけではない、胸騒ぎがするのだ。

それはとても嫌な事を予感させるものだ。

息切れしだしても私はスピードを緩めることはない。

横っ腹が痛み出した頃、ようやくアンジェの家が見える曲がり角に差し掛かった時だった。

ブーーーン

前から来る黒の高級車とすれ違いざまの事だ。

『ッ!!』

中にアンジェがいた。

お互いに目があって、目を見開く。

「沙羅」

そうアンジェの口が私の名前を呼んだと口の動きで分かった。

車はスピードを出したまま私の横をいとも簡単に通り過ぎた・・・。

数秒間、私はその場から動けなくなっていた。

アンジェの顔はただの旅行に行く顔ではなかった。

あれは覚悟を決めた顔をしていた。

はっとしてバッと手を伸ばそうとするが、車は私を遠くに引き離していた。








残ったのは無駄に差し出された手だった。




「ん?どうしたんだ承太郎・・・。」

承太郎の隣に座っていた花京院が承太郎の様子に真っ先に気付いた。

彼が窓の外をジッと見ていたのに気づいて声をかけた。

花京院もつられて窓の外を見るが、そこには別に変わったところがない普通の道だ。

承太郎が一体何を見たのか分からなかった花京院は口を開いた。

「何を見ていたんだい?」

「・・・・・・なんでもない。」

それが嘘なんだと花京院はすぐに分かった。

なぜなろ、承太郎はそう言った後もジッと窓の外を見ていたから・・・。

何でもないはずがないと花京院は感じた。

だけどまだ花京院と承太郎は親しいわけではなかったので、花京院は詮索はせずにただ「そうか」と言って終わった。

また気になって、花京院が承太郎を見た。

承太郎は相変わらずジッと窓の外を見ていた。

窓ガラスに反射して承太郎の口が動いたのが分かったがその声は花京院には届かなかった。

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