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『普通はそこは顔を真っ赤にして「そ、そんなんじゃないわよ馬鹿ッ!!」とかさー。見事なツンデレ具合を見せる所だろうよ。昔からお前の愛はツンしかないからアリババはもう心が折れそうだよ。』

ジンジンと痛むだろう赤い頬をさすりながらアリババは言ったのである。

「俺はツンデレじゃないし…その発言に寒気を覚える」

『あー、ヒドイ。さっきの発言はなんだったのかなー』

「・・・・・・・・・・・・・。」

『あ、もういいません。』

からかうような口調でアリババが言うと、カシムは無言で拳を掲げたのでアリババは大人しく謝ったのであった。

その様子にしぶしぶ(しぶしぶ?)と言った感じで手を下げたカシムはハァーとため息を吐いて口を開いた

「で?お前はなんでここにいるんだ?」

その発言にキョトンとした顔になったアリババはたっぷりと三泊間を置いて思い出したように口を開いた。

『あぁッ!そうだ思い出した!!』

そんな緊張のない相変わらずの姿にカシムは思わず口を開いた

「お前はそう言った事は昔から変わらないな…昔、ザイナブとハッサンの喧嘩流血事件の時にお前は『じゃぁ、後はよろしく』

カシムの声を遮ってアリババの声が聞こえた。

「は?」

そう口から発した瞬間、ドンッ!と体を押され足が一歩前に出てそこからガクンと支えがなくなった。

「へ?」

一瞬にして嫌な予感を感じたカシムであったが気づいた時にはもう遅く、体制を崩した体はそのまま落下していった。

ハッとして目を見開いたらアリババが笑顔で手を振っている姿に声をあげた

「アリババ!てめぇこのやろぉおおおおおおおおおおおお」

そして暗闇の底にカシムは消えて言ったのであった。

『・・・・・・・・・さて、最後の大仕事でもするか。』

その姿を見ていたアリババはただそれをジッと見つめていたのであった



「・・・・さん。・・・・ィさん!!」

「兄さんッ!!」

聞き覚えのある声にハッとカシムは目を開いた。

まず最初に目に映ったのは久しぶりに見たマリアムの泣き顔だった。

「・・・・・誰に泣かされたんだ?」

その言葉が自然と出た。

これは泣いていたマリアムにカシムが昔から言っていた言葉であった

昔はここにアリババも加わって一緒に泣かした奴を逆に泣かしに行ったもんだ

特にアリババ・・・アイツはえげつなかったな・・・。

そう懐かしんでいるとマリアムはギュッとカシムを抱き締め、只々「よかった。本当によかった」とその言葉を吐くだけであった。

「「「「カシムさんッ!!」」」」」

そして次々と自分の名前を呼ぶ声を聞こえて、次々に見える顔にカシムはやっと自分の今の状況を理解したのであった。

霧の団の連中がカシムと妹をかこむように立っていて、泣きながら笑っている姿はなんとも珍しい光景だった

アリババが拾ってきた奴ら・・・親や国から捨てられた彼らをよく拾っては飯を与えているあの日がとても懐かしい

その姿を最初は怒っていた自分・・・そして最後にはアリババに負けてしまって結局は許してしまう

あの日々がとても懐かしく、とても幸せな瞬間だったのである

そう言えばアイツは・・・・・・・・・・・・・。

そしてカシムはその輪の中にアリババの姿がない事に気付いて、自分の今まで経緯を思い出したのであった。

なぜ皆が泣いているのか、自分がどうなったのか

アリババがどこにいるのか・・・。

「アイツはッ!?」

カシムはバッとその場に起き上がったのであった

そして視線の先には見たことのない化け物の姿、だけどその中にアリババがいると感じたカシムはすぐさまに立ち上がり向かおうと一歩踏み出した瞬間だった。

ガバァッ!!パク・・・ムシャムシャ

地面から急に現れた口らしきものがその化物ごと食べたのであった。

「は?」

思わず声があがったのであった。







「ウソだろぉおおおおおおおおおおおお!!!」


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