19 あなたにとっても似合うもの
ファッション雑誌をコンビニへと買いに行った帰り道、見覚えのある背中を見つけた。
あんなガタイのいい高校生はきっと一人しかいない。
そう内心ほくそえんで、声をかけた。
『アン「オラァッ!!」
声をかけようとしたら、アンジェは喧嘩中のようだ。
チンピラ三人の絡まれているらしいアンジェだが、まったく引けを取らず寧ろ押している様子だ。
おぉ。強くなったもんだなと思っていると、アンジェの足元に落ちているモノを発見。
タッタタと近寄ってそれを拾う、目線を上げれば見知らぬ男の顔が。
『わぁ、ブサイクな顔』
思わず心の声が口から出てしまった。
いけない、いけない。つい思ってることが口から出てしまったわ。
そう思っていると相手はプッツンといったらしくて、血反吐吐きながら怒っている。
ちょっとアンジェ、殴るなら気絶するまでがマナーよ!!(どんなマナー?)
拳振り上げて殴りかかってくるのを待ち構えて、精神喪失レベルのカウンターを食らわしてやろうと思ったら「オラァッ!!」と横からアンジェが殴って終わった。
「・・・・・・・・・・。」
アンジェは私の前で無言の仁王立ち、でも視線はギラギラと明らかに怒ってるオーラをしている。
(ま、まずいな)とそう思って、話題を変えることにしあ。
『ア、アンジェ。帽子破れてるから、後で直してあげるね』
想い雰囲気を壊すために言ったのに、更にアンジェの機嫌は悪くなる。
(な、なんで?)
そう思ってアンジェを見つめていると、やっと口を開いた。
「・・・・・あぶねぇだろうが」
キュ〜〜ン
その一言に私は歓喜に包まれる。それってもしかして、もしかして。
『アンジェ、心配してくれたのね。嬉しいッ』
思わずアンジェに飛びついてしまったのは仕方ないと思う。
本当に可愛くて、可愛くて仕方がないの。
『大好きよ、アンジェ』
小さい頃そう言えば、喜んだ言葉を言ったのに・・・。
なぜかアンジェは困ったような顔をした。
お前の好きと俺の好きは違うんだ。
『はい、アンジェ。帽子直しておいたよ』
そう言ってアンジェは帽子を受け取って行った。
「別に直さなくてもよかったんだぜ・・・。」
『ダメよ。アンジェは帽子が似合うんだから・・・。』
「・・・・・・・・・・。」
『縫い後、隠すためにウチのロゴで隠したからね。アンジェ目立つからついでに宣伝にもなるし』
「それが狙いじゃねぇか・・・。」
「後書き」
承太郎の帽子のマークをブランドマークにしてしまった。
もうしわけない。
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