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「吸血鬼」は変態だ
それは私が“前の私”であった時に嫌と言うほど体験した事であった。
義理の弟(私は断固として兄とは認めない)が吸血鬼になって、変なフラグが立ったが最後
何十年、何百年とストーキングされたのだ。
しかも巻き添えにその時の私も化け物まがいにされられたのだ。
自分より息子、孫たちが早くに死ぬなんて姿はもう嫌だと何度も、何度も思ったものだ。
だから来世は吸血鬼なんて野郎とまったく関わりのない世界で、人間として最後死んでやるのだーーーーーー!!
と決意したあの頃が懐かしい・・・・・・・・。
『なのにッ!なんでだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ』
だぁあああああああ
あああああああ
私の心からの叫びはイギリス全土へと広がるものであった。
そう、そう思っていた話である。
過去形を使ったと言う事は、もうお分かり頂けるだろうか?
どうやら今回も吸血鬼とは近い関係のようだった。
…おっと、ここで自己紹介をさせてもらう
私の名前はインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングである。
・・・・・・・・・・なげーよ。
まぁ、別に名前の長さに注目してもらいたくはないんだ。
問題はファミリーネームである「ヘルシング」
・・・・・・・もう嫌な予感しかしない。
その嫌な予感を感じた私、諦めの悪かった当時の私は父親に聞いたのであった。
ちなみに父親はダンディーなお方だった
母は私を生んだ時に無くなったと聞いて、その母に注ぐまでの愛情を一心に受けているような状態である。
父は私に溺愛だった・・・・・・自分で言うのはすごい恥ずかしいが、その言葉が最も最適だと思う。
いつもは仕事中はその部屋に近づかないのだがどうしても気になったので部屋に向かったのであった。
『父さん・・・。』
執務室で厳しい目の父に声をかければ目が合った。
鋭い目は驚きで真ん丸になり、そしてニッコリと優しくほほ笑んだ。
「あぁ、インテグラ・・・なんのようだい?」
この姿を父の友人であるアイランズさんが偶然にも見かけたときのあの顔は凄まじいものだった。
聞くところによると若い頃の父はそれはもう手を付けられない程にヤンチャな青年だったらしい。
その発言はアイランズさんとこの家の執事であるウォルターの二人から囲まれ、逃げ場を無くされ永遠と愚痴られ続けたのであった。
その後にそれを知った父によって愚痴り大会は終了したが…話している内容を父が知ったときは二人に対する怒りはそこそこで私に対する弁明大会が繰り広げられたのであった。
もう二度と親父共の話は聞くもんかと心に強く誓ったのであった。
まぁ、そんな話は置いといて今とても需要事項を聞かなくてはいかないのである。
『お父さんのお仕事はなぁに?』
久しぶりに使っている幼児言葉に内心、穴に入りたいほど恥ずかしいがなんとか抑えている。
小さな娘の質問に父は誇らしげに笑って私をその大きな腕で持ち上げた。
「私の、私達の仕事はね…インテグラ」
「ヴァンパイア退治さ」
それを聞いた瞬間、気絶をしたのは言うまでもない。
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