16 そろそろ時間だろ?





駅へと続く道へ二人並んで歩いていた。

私はアンジェと歩くことが嬉しいので終始ご機嫌だ。

隣で歩いているアンジェととりとめない話をしている。

高校はどうなのかとか

女子にはもてるだろうとか

もうすっかり不良化したアンジェの武勇伝も聞いていた。

どうやらアンジェは女子にはモテルが、きゃーきゃーと叫ぶ部類の女性は苦手のようだ。

なんて贅沢な悩みだなと思っているが、まぁ黙っておこう。

そんな何気ない会話をしていると急にアンジェがぽつりと言った。

「・・・・・やっと」

『ん?』

「やっとお前の背を超えられたな・・・。」

そう言われて、私はアンジェを見上げた。

『そうだね、三年前はまだ私のほうが大きかったのに・・・。もうアンジェの頭は撫でられないや』

そう言って私は残念がっているとアンジェはグリグリと私の頭を撫でた。

「今度から俺が撫でてやる」

そう言って乱暴に撫でるアンジェの手に嬉しさも反面、悔しさも感じる。

もうあんな可愛い私のアンジェを撫でることは出来ないのか・・・・。

そう残念がっている私を見ているアンジェの姿に私は気づかなかった。




『ここまででいいよ。ありがとう』

駅前についた私は振り返って、アンジェに言う。

「あぁ。」

そう言って帽子を目深にかぶってしまうアンジェの様子に頬が弛む。

『じゃぁね』と言って改札を通ろうとした時、後ろから「おい」と声をかけられる。

『なに?』

「当分はこっちにいられるのか?」

『うん、これからはほぼ日本にいるよ』

そう言えば、帽子の影からわずかに見えるアンジェの口がわずかに弛むのが分かった。

「そうか・・・。」

『うん。』

「・・・・・・・なぁ、沙羅」













「何時になったら俺を名前でよんでくれる?」

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