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海常高校との練習試合当日、誠凛高校は海常高校の校舎の大きさに度肝を抜かれていた。
黒子の横に立っている火神の目つきが異常に悪い事に気付いた黒子が声をかけた。
「火神くん、何時にも増して悪いです・・・目つき」
「うるせぇ・・・そう言うお前こそ、なんか機嫌いいじゃないか」
そう言った火神に回りの誠凛のメンバーは驚いた。
めったに表情を変えない、黒子が機嫌がよさげと聞いて皆が黒子を凝視した。
「たしかに・・・いつもと違って表情がすこしゆるいというか。」
「でも言われて見なきゃわからない違い・・・。」
いろんな人間にジロジロ見られて黒子は落ち着きのない様子で言った。
「今日は・・・どうしても試合を見せたい人がいるんです。」
そう言った黒子の言葉に更に周りは驚いた。
「えっ!彼女なの!!」
目がキラキラと輝いている監督の間リコであるが、黒子は首を振った。
「違います、彼女はなんというか・・・・僕の師匠ですね」
「「「「「「師匠?」」」」」」
「僕の今のスタイルを生み出してくれたのは彼女ですから・・・・それに。」
そう言って言葉を切った黒子は真っ直ぐと火神を見つめて言った。
「キセキの世代を倒すのに、彼女の力が必要です。」
「ッ!!」
火神がその話を聞いて目を見開いた。
そして口を開いた。
「でも、女だろ?ソイツが・・・・「言っときますが火神くん。」
言葉を遮って黒子がしゃべる。
「僕たちがキセキの世代と呼ばれれ始めたのはその前の代の先輩にキセキと呼ばれる人がいたからです。」
「それがその女だって?」
驚きを隠せない火神に黒子は頷いた。
「えぇ、一つ上のその先輩は中学1年の時に低迷していた帝光中女子バスケチームを全中で優勝させました。そんな彼女に次の年に入学したキセキの世代は影響を受けています。現に彼らのプレーはどこか彼女を匂わせています・・・・・でも」
「でも?」
そこで言葉を切った言葉にリコは先を促すように言った。
「彼女は中学3年の全中大会をまじかに、バスケ部を辞めました。」
「どうして?」
「それは僕にも分かりません・・・・でも彼女は卒業するまでバスケをすることはなかった。そしてそれは今も続いている。」
「だから僕は彼女に言いました、今日の試合を見てくださいと。そしたら彼女の心が変わるかもしれないから・・・」
真っ直ぐな目をした黒子に誰も言葉を出せなかった。
その必死さが、真実味をおびたからである。
その女がいれば、キセキの世代に勝てるかもしれないと・・・・。
「だから僕は今日、どうしても負けられないんです。」
「・・・・・・・・・。」
グシャグシャ
「火神くん、やめてください」
黒子の頭をぐしゃぐしゃと撫でる火神に黒子は不満そうな声を上げる。
そんな黒子を無視して火神は言った。
「ばーか、そんなことなくても。勝きだアホ」
そう言った火神に黒子は唖然としていたが、すぐにフッと笑った。
「もちろんです。」
<反省>
中二設定3
主要キャラは皆、主人公を憧れとしている。
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