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「沙羅、いつまで家でゴロゴロする気なんだい?」

ボーっとテレビを見ていたら、叔父の声が聞こえてそちらを向けば、久しぶりの姿に声を上げた。

私は今、アメリカ暮らしの両親と離れて東京に住んでいる叔父の下でお世話になっている。

本当は父方の実家に預けられそうになったんだけど、お爺ちゃんだウザくて断った。

『叔父さん、久しぶり。福岡の遠征はどうだった?』

バスケ馬鹿の叔父にはバスケの話で気をそらそうとする私の作戦である。

私の読み通り、叔父はキラキラとした顔で話した。

「よかったよ。相手チームにすごいプレーヤが・・・・って。俺の話じゃないでしょう。美和、休みの日ぐらい出かけたら」

チッ!失敗したと思いながら、言った。

『何時も学校に行ってるんだもん。たまの休みぐらいゴロゴロしたっていいじゃない。』

そう言えば叔父は大きなため息を吐いた、そんな何時もと変わらない日の事であった。

ブー、ブー、ブー。

机の上に置いてあった携帯が鳴ったのに気づいてそちらに目を向ける。

それに気付いた叔父がパァッと嬉しそうな顔をした。

「ホラきっと、中学の頃の友達の子だって。きっと沙羅を遊びに誘っているんだよ」

『いや、ソイツ明日から試合だって言ったし・・・たしか、海・・・・・なんとか高校とかなんとか』

そう言えば、父はガックリと肩を落とした。

「・・・・・・海なんとかって。海常高校の事かな?」

『あーーーー。そんな名前だった気がする。』

そう言えば、また叔父の顔が明るくなった。

「あそこの高校のバスケ部の監督、俺のいっこしたの後輩なんだよ。沙羅、試合見に行くついでにあいさつ『いや、行かないし。試合』

そう言いながら、携帯をパカッと開くと電話らしくそのまま出た。

『あー、もしもし?』

「どうして疑問形なんですか・・・。」

珍しい相手からの電話に私は驚く。

中学を卒業してからはメールでやり取りしていた相手、高校は同じになったとしても廊下ですれ違うこともなかったし。

なぜか久しぶりすぎて少し緊張してしまった。

『珍しいね、お前から電話なんて』

「まぁ、今までメールでしたから。・・・・それより沙羅さん」

『なんだ?黒子』

「明日・・・暇ですか?」

『明日?明日って・・・・・・・・』

黒子と明日と言う単語を聞いていた叔父はなにやら興奮した様子で、大声で言った。

「黒子くーーーーん!!暇だよ。いつでも沙羅は暇だから!!どこへでも連れてって、明日家を掃除するから邪魔なんだ」

『ハッ!!そんな話、聞いてないよ。つか喋るな!!』

そう言って叔父の顔を退けようとしていると、電話の向こう口から声が聞こえた。

「じゃぁ、沙羅さん。明日に試合・・・見に来て『やだ。めんどい』

一言で返せば、黒子は無言になった。

無言になれば私がお前に折れると思うなよ。

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

『・・・・・・・・・・・・・・・。』

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

『・・・・・・・・・・・・・・・。』

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

『・・・・・・・・・・・・・・・。』

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

『・・・・・・・・・・・・・・・。』

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なにが目的だ?』

重苦しい沈黙にまたもや耐えられなくなった。

なんか何時もこんな感じで私が折れている気がする。

トホホと思っていると、黒子が喋りだした。

「僕、このバスケ部でキセキの世代を倒したいんです。」

その言葉に驚いた。まさか、コイツの口からそんな話を聞くとは。

そう思った瞬間、自分の胸がドクドクと波打つのが分かった。

『・・・・へぇ、面白いじゃん。て、事は・・・光が見つかったのか?』

「はい。・・・でもこのままではキセキの世代には勝てません。」

『そりゃ、そうだろう。アイツらを倒すのは並大抵な努力じゃ無理だ。』

「だから、並大抵じゃない沙羅さんのご指導が必要なんです。」

『・・・・・・・・お前、サラッと失礼な事言ったな。』

「そうですか?」

『そうだよッ!!・・・・お前、その話を私が受けると思ってるのか?』

私はもうバスケを辞めた女だ。

「だから、明日見に来てください。僕たちの試合・・・それで決めてください」

そう言った黒子の声が真剣なものだったから・・・思わず。

『分かったよ、教え子の頼みだからな・・・聞いてやる』

「はい。」

たった一言だけだったが、その声が浮かれているのが分かった。




黒子と電話を終えて、振り返れば笑顔の叔父が立っていた。

『ゲッ!!』

「沙羅、明日。お土産持ってってね」










『断るッ!!』

<後書き>
中二設定その2
主人公の師匠になっている

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