13 カントリーロード





無事に学校を卒業して今日はいよいよ日本に帰国する日である。

日本に帰ったら、日本のお店の下見に行くつもりである。

スポンサーの人が「いろんな国に店を出店させてはどうだろうか?」と言ってくれたが、それはもう少しお店が軌道にのってからとゆう話だったのだがとりあえず、アメリカに本店を置いてためにし日本でやってみようと話になったのであった。

日本でやるなら私、日本に行くわってな感じで私の拠点は主に日本となるだろう。

まだこの時代にパソコンを使って画像を送ったりなど高度な事は無理だが、郵便と電話さえあればみんなでアイディアは出るし。

まぁ、なんとかなるだろう。

それよりも私には楽しみがあるのである。

私が今年で19歳、アンジェが17歳なのでそろそろディカプリオになっているだろうとうきうきなのである。

さぁ、アンジェの好きな海の生き物グッズを買い集めてお土産にしようと私は日本に帰ったのであった。




『本当に日本の空港って醤油の匂いがするんだね』

海外から帰ってきての第一声はそれであった。

両親に電話で到着のご報告をする、どうやら今夜は久しぶりに親子三人で外食のようだ。

今日は平日で両親は会社勤めなので、外食は現地集合らしい。

現在の時間が午後2時だから、時間は余裕だなと思って私はいったん家に帰る事にした。

懐かしい商店街を歩いているとふと不動屋さんが目にはいって立ち止まる。

『部屋…借りようかな?』

私の実家はお隣のようには大きくないから、一人暮らしは無理だとしても(父が反対するだろうし)仕事部屋は借りたいな。

そう思って物件案内を食い入るように見ていると、背後に誰かいる気配がして次に「沙羅ちゃん?」と聞き覚えのある声が聞こえた。

『はい?』と振り返ってみるとそこに久しぶりにみる聖子ちゃんもといホリィさんが立っていた。

私の返事に花開くようにパッと笑顔になった聖子さんは私に抱きついた。

「いつ帰ってきたの!!」

私は聖子さんを受け止めて言った。

『今さっき、帰ってきました。』

「もうっ!帰るなら、帰るって連絡してくれたらいいのにっ!!」

ぷくぅうと頬を膨らませる聖子さん、うちの母ならドン引きするがそこは聖子さんだから更に素敵に見える。

『驚かそうと思いまして…。』

「あっ、言い忘れてたわ卒業おめでとう。」

我が子のように喜んでくれる聖子さんに私も自然と頭が下がった。

(本当にこの人には勝てないな。)

『ありがとうございます。』

「沙羅ちゃんのママに聞いたんだけど、お店。始めるんだって?」

『はい。開店は三か月後なんで、準備の手伝いと経営を任されました。』

「フフ、今度はちゃんとお店で買うからね」

そう言ってくれる聖子さんに私は首を振って意志を示す。

『いえいえ、聖子さんには私から個人的にプレゼントしますよ。』

「そんなっ!!それじゃぁ、悪いわ」

『いえいえ、聖子さんがそれを着て歩いてくれるだけで。それだけで十分な宣伝効果がありますから逆にこっちが払うべきですよ』

「まぁ!!クスクスクス」

『フフッ!!』

私は初めてこの暖かい故郷に帰ってきたのだと実感した。

やはりこの人は昔から変わらず、温かい人なのである。




「そう言えば、沙羅ちゃん。不動産屋さんの前に立って…一人暮らしでもするの?」

そう言って、物件案内を一緒に見る聖子さんに私は答えた。

『いえ、仕事場を借りられないかと思いまして…。』

そう言えば聖子さんは何かを思いついたようで口を開いた。

「うちの家を使えばいいんじゃない?」

『へ?』

「うちの家、無駄に部屋数多いから沙羅ちゃんに貸してあげるわ。服のお礼ってことで」

『えぇ!!そんな、小さい頃お世話になった聖子さんにするのは当たり前の事ですし』

「じゃぁ、今度の貞夫さんのツアー用の衣装作ってあげて。貞夫さん、沙羅ちゃんに作ってもらいたいって言ってたし」

どんどんと聖子さんのペースになっていく感じがして私もさすがに焦った。

『で、でも「昔から沙羅ちゃんて集中すると周りが目に入らなくなるじゃない。仕事に熱中してご飯のことなんてすぐに忘れて倒れちゃうわよ」

『うッ!!』 

そうなのだ。私は集中すると平気で気づいたら次の日の朝だったりなんてことが序の口で、最高三日は飲まず食わずで心配した寮生仲間が倒れた私を何回も発見しているのである。

寮だったから今まで生きてこれたものを、一人暮らしとなったら確実に死ぬだろうと頭の中では簡単に予想が出来た私は黙った。

それを見た聖子さんが満足そうにニッコリと笑って言った。







「決まりね!!」

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