12
マリオがエア・サプレーナ島を訪れ、数時間ジョナサンと話をして帰って行った。
それからのジョナサンは変な行動をしていた。
心ここにあらずと言った感じで、食事中やいつも通りの使用人たちの喧嘩でもボーっとしたままであった。
そのくせ、誰かが「どうしたのですか?」と聞いてもジョナサンは首を振るばかりで口にしようとはしない。
それが3日続いたある日だった…ジョナサンは行動を起こした。
『ローマに行きたいかー!!』
朝起きて、使用人たちの前での第一声はそれであった。
それを聞いたスージーQはビシッとすぐ手を上げ、それに続くようにブラフォード、タルカス、ロギンス、メッシーナと順にあげてった。
『先着2名までなので、ローマ行の券はスージーQとブラフォードで決定でーす。』
その言葉に三名は悔しそうにしていたが、ジョナサンは『出発は4日後だ。ブラフォード、経路の確保よろしく。』そう言ってその場を去ってしまった。
ローマーに行く事になった二人は気づかなかったが、ジョナサンの様子に疑問をもったタルカスはジョナサンの部屋を訪れた。
彼女の部屋の扉をノックして入る。
彼女は部屋にあるテラスでボーっと空を見ていた。
タルカスはジョナサンの傍に寄ったが、話の切り出し方を考えてなかったので言葉につまった。
まるでその事を察知していたのか、理解できたのか、ジョナサンはクスッと笑って口を開いた。
『マリオが…ローマで見つけたらしい。』
主語がないその言葉にタルカスは聞いた「何をですか?」と、ジョナサンはそれを聞いて瞳をつぶって静かに言った。
『柱の男たちだよ。』
「ッ!!・・・・・ま、まさかッ!ジョナサン様!!」
その発言に全てを理解したタルカスは口を開く。
「柱の男」それはかつての波紋の一族の長である老師トンペティがある日、ジョナサンの前に現れて語った男達の名前だ。
『死んでいた者の頼みだ。聞いてやらなくては・・・。』
そう言ったジョナサンにタルカスは声を荒げた。
「私は反対ですッ!!貴方様は十分、あの老いぼれのためにやって来たではないですか!!散々、貴方を利用し、貴方から大事なものを奪って行って、ようやく終わったと思ったのに。死んで行った後も・・・・あなたを苦しめるッ!!」
ギュッとタルカスは拳に力を込めた。
この人にはいつも「はずれくじ」ばかり回ってくる、その強大な力と才能が起こすものだとしても…周りの連中は彼女に残酷なモノばかり残して勝手に死んで行く。
それは、まるで・・・死ねない彼女をあざ笑うかのように。
それがとてつもなく許せないッ!!
『それに奴らと関われば、私の事も分かってくるかもしれないだろ?…大丈夫、アイツらが目覚めるのはまだ先だよ』
「だとしても『お前たち二人をいつまでも私の呪いに関わらせるのは申し訳ない。』・・・ッ!!何を言うのです!!」
そうタルカスとブラフォードはジョナサンの能力で人間にと戻れたが、時間を止められている状態で彼女と一緒に年を取らないのだ。
でも、それはジョナサンが望んでやっている事じゃない。
「私達ふたりが望んだことです、貴方様が生きている限り私達は貴方様にお仕えする。それが50年前に貴方様の恩を返すためだと。私もブラフォードも決心しているのです。それを「関わらせる」と言う言葉にしないでいただきたい!!」
そうタルカスは怒り気味に言ったのに、ジョナサンはそれを聞いてフフッと笑った。
『そうだね、ごめん。』
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