10
その日はとても気持ち良い朝だった。
チュンチュンと小鳥たちの声で目覚める私は、まるでどこかの映画のヒロインのようだわと思いながら目をパチリと開けた。
「おはようございます、ジョナサン様」
爽やかな朝はタルカスのドアップを見るまでであった。
『ぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!!』
朝から大声で叫ぶはめになったのであった。
「タルカスさんッ!!あれほど、ジョナサン様は私が起こしますと言ったではないですかッ!!」
そう言って私の目の前でタルカスを説教しているのは、つい2年前からここで働いているスージーQである。
私が彼女をこの城に引き入れたときは、気弱で泣き虫な少女はあっという間に変わって…今はタルカスやブラフォードを説教できるまで逞しくなった。
(おばあちゃんはうれしいよッ!!)
しかし、10代の少女に正座させられる筋肉ムキムキの男って…どうよ?
そう思っているとタルカスの説教が終わったのかスージーQが笑顔になって挨拶をした。
「おはようございます。ジョナサン様ッ!!」
元気いっぱいと彼女の頭上でキャッチフレーズが出そうなほど、キラキラした笑顔に私も自然と笑顔になった。
『おはよう、スージーQ』
彼女がここに来てくてから、この城は明るくなったと思う。
今まではタルカス、ブラフォードに続いて弟子へとせがんでやって来た二人の男、ロギンスとメッシーナである。
むさい・・・男臭い。
そんな私の元へと現れた一人の天使、スージーQである。
私が彼女をデレデレに可愛がるもんだから、むさ男集がスージーQ に嫉妬しているらしいが…無視しておこう。
構ったら、構ったで面倒なのは理解している。
そして何より、スージーQが可愛いのだものしょうがないじゃない?
そう思ってニコニコと笑っている私を見て、スージーQ も笑顔で返してくれる。
「ジョナサン様。今日の服はこっちと、こっち。どちらになさいますか?」
そう言って私にさし出してくれる服、彼女はセンスが良くて私の服はすべて彼女に任してある。
そんな彼女に対抗してブラフォードも服をたまに持ってくるのだ・・・あれはなんと言ったらいいだろうか。
私の目から見ても時代遅れと言うか…流行に乗り遅れているというか。
「どうぞ、ジョナサン様」
そう、たとえばこういう悪趣味っぽい奴・・・・・。
『・・・・・・・ブラフォード。なに?それ「そんなダサい服ッ!!ジョナサン様には似合いません」
私が突っ込む前にスージーQによってブラフォードの選んだ服は却下された。
「お、おのれ小娘ッ!!お前が生まれるずっと前から私はジョナサン様のお傍にいたのだッ!!お前より、ジョナサン様のご趣味を十分に理解しとるわッ!!」
いや、明らか理解してないだろう。
あの酷い服はお前の趣味だろうに・・・・。
そう思っている間に言い合いになっている二人、私は大きなため息を吐いた。
『だいたいこういう日には厄介事が来るんだよな・・・・。』
そう思った瞬間、コンコンと部屋のドアをノック音が響いた。
ホラ来た・・・・。と思いながら大きなため息を吐いた。
「失礼します。」
その声と共に部屋へとやって来たのはロギンスとメッシーナの二人である。
二人は喧嘩するスージーQとブラフォード、落ち込むタルカスを無視して私だけを見て言った。
「「ジョナサン様、貴方様に会いたいと言う方がいるのですが・・・。」」
『だれ?』
「マリオ・A・ツェペリと名乗ってますが・・・。」
私は頭を抱えた。
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