9 依存していたのは彼女じゃない




彼女は自分にゾッコンだと思う。否、自惚れじゃなくて…

それを言っても許されるぐらいに彼女は俺に昔から今もベッタリだ

自分が何をしても褒めるし、昔の事だが自分が泣けばすぐに駆けつけてくれた。

「アンジェ」

年頃の男にとっては恥ずかしいあだ名を親によれば自分が赤ん坊の時から呼ばれ続けていて、最近それが恥ずかしくなってやめてほしいのだが。

言うと『アンジェをアンジェと言って何がいけないの?』なんて真顔で言うもんだからこっちが逆に驚いた。

それほどまで、彼女は自分を溺愛しているのだ。

そんな自分が小さい頃から自分を可愛がってくれる2歳年上の幼馴染に恋をするのはごく自然な事だと思う。

気づいたら、それは恋だったのだ。

それを一番最初に気付いたのは本人の自分ではなく母と言う事に若干の悔しさを感じるが、そこは母の力と言う事で冷静を保っている。

自分はそんな彼女とこれから先もずっと共にいられるとそう思っていた。

だって彼女の自分に対するゾッコンブリを今まで感じてきて、彼女は俺から離れることはないと思っていたのだ。




「承太郎ッ!!」

母が何やら切羽詰った様子で現れた

息を切らしているのを見て、走ったのだろうと推測する。

そして、この温厚な母が走るなんて事は相当、重要な事だと瞬時に理解して顔を上げる。

「お隣の沙羅ちゃん、中学を卒業したらフランスに留学するんですって!!」

「え?」

自分の手に持つ雑誌がスルリと手から離れるのを気にせずに只々、母親が言った言葉をリピートしていた。

彼女が留学?

それは彼女が自分から離れるとゆう事を指す。

そして自分はやっと気づいた。

彼女は自分の事を好いてくれているのはそれは親愛とゆうレベルであったこと

そして、依存していたのは彼女ではなく・・・・。










「それは俺だった」
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