10 Q.どんな時に罪悪感を感じる?





ピピ、ピピ、ピピ

聞き覚えのある音で目をパチッと広げた。

そして視線の先にある物を見て一言。

『・・・・・・・家か。』

久しぶりに見た我が家の天井を見てポツリと零した。

時計を見たらまだ七時だった。

そうかいつもの調子で目覚ましかけたから・・・。

今日の出勤は午後一からなので、午前中はオフなのだ。

二度寝を決め込もうと思ったがそんな気分じゃないので起き上がった。

時間まで外でぶらぶらしようと思った私は普通に会社行く時間と同じように家を出た。

ガチャ

『?』

隣から扉があく音が聞こえてフッと見た瞬間、すぐさまドアを閉めた。

バッと自分のドアに背を向けて彼が立ち去るのを待った。

『・・・・なんで高野さんが隣にいるんだ?』

そう、私の隣の部屋から出てきたのは高野さんであった。

そう言えばこの前、だれか引っ越してきた風だったけどまさかあの人かッ!!

つか、よく今までバレなかったな。

そう頭の中でちょっと関心したけど、そんな場合じゃない事に気付いた。

これからもバレないように、家を出る時は最新の注意を払わなくちゃね。

そう決意した朝九時の出来事であった。




『あ、そう言えば今日発売日だ。』

本屋を横切りそうになったとき目に入ったのは私が担当した秋彦の本の宣伝が大々的で目に入った。

様子、見て行こうかな。

秋彦あんまりこういうのは気にしない人だけど、売れているのは嬉しそうだし。

自分の時計を見てみればだいぶ時間に余裕があるので本屋に入ったのであった。

秋彦の売り場から一歩離れた所からボーっと見ていればドンドンと人が流れてきて秋彦の本を手に取る。

そしてそのまま本を持って行ってくれている。

その姿を見て本当に嬉しくなる、自分が少なからず携わった本が売れるのは嬉しいものだ。

思わず顔がにやけてしまった。

「あれ?綾部さんじゃないですか!」

真横から聞こえた聞き覚えのない声に私はそっちを見た。

(ま、まぶしッ!!)

キラキラとしたトーンが似合いそうな超絶のイケメン雪名くんがそこに立っていた。

彼とはこの前、連絡先を交換して今はメル友の中である。

私と目が合った雪名くんはキラキラを更に二倍増しの笑顔で近寄ってくる。

「久しぶりです!綾部さん。最近、来てくれなかったから寂しかったんですよ。」

と、そんな今時の少女漫画のイケメンでさえ言わないセリフを言えていけるのは彼の顔だから出来るのだろう。

売れるぞ、雪名くんで本を描けば売れるぞ!!

そう思っていると雪名くんは私が見ていた方向を見て言った。

「綾部さんは宇佐美先生の本が好きなんですか?」

『あぁ、私は「綾部さんじゃないですかッ!!」

私の言葉を遮って現れたのはこの本やの店長さんだ。

店長さんに笑顔でお辞儀をした。

『お久しぶりです。宇佐美の本、売れてますか?』

そう私が聞けば店長さんは興奮した様子で話す。

「もちろんです!何時も先生の本は大目に注文してもすぐに売り切れてしまって…追加、お願いしていいですか。」

雪名くんがドン引きしているのを見て苦笑いしてしまった。

『分かりました。伝えておきます。』

そう言えばやっと店長は雪名くんの存在に気付いた。

「雪名ッ!この人は宇佐美秋彦先生の担当編集の方だ。」

「へ?」

雪名くんは間抜けな顔になったのを見てちょっと笑いそうになった。

そして店長は極め付けの一言を落とすのであった。

「あとお前の好きな雑誌、エメラルド編集部の編集長さんだ。」

「ええっ!!」

切れ長の綺麗な目を丸々とさせて驚く雪名くんに思わず吹き出してしまった。

『元です。もう私は編集長じゃなくて、一編集者ですから』

そう言って自分のカバンの中から何時も持ち歩いている名刺を差し出した。

『どうも、エメラルド編集部の綾部です。以後、お見知りおきを・・・』

ニッコリと何時もの営業スマイルとは違ったイタズラの成功した子供みたいな顔をすれば、驚いていた雪名くんもつられて笑ってくれた。






A.年下の男の子に尊敬の目で見られてるとき
(綾部さんが担当した漫画ってどれっすか?)
(あー、コレとコレと、コレと、コレとコレもでアレもそうでしょう。あと・・・)
(全部、俺が好きな漫画です。綾部さんてすごい人なんですね)
キラキラキラ
((眩しッ!!))

[*prev] [next#]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -