6 Q.好きなものってなんですか





目が覚めて思ったこと

(寝すぎた)

体を起き上げなくても、体が痛い事が分かった。

なんとかして怠い体を無理やり起こして立ち上がった時だった。

♪〜♪♪〜〜〜〜〜♪

部屋に携帯の着信音が嫌に響く。

誰だよッ!!と心の中で悪態を吐きながら、携帯を取って電話相手を見て一瞬で飛び起きた。

『そうだ!!今日は用事があるんだった!!』

焦る気持ちが大きすぎて、部屋で何度も転びながらも準備を整えた私は目的地へと向かった。




バンッ!!

『孝浩ッ!!』

扉を開ければ唯一無二の親友の姿に大声を上げた。

そんな私の声に気付いて振り返る、彼が友人としてたまらなく好きだ。

そして少し驚いた表情がその目に私を映して、笑顔になる瞬間も好きだ。

「沙羅!!」

バッと両手を広げてくれて、迷いなく私はそこへ駆け込んだ。

『「久しぶり!!」』

まるで映画のワンシーンみたいに、「あはは」「うふふ」と言いながらのメリーゴーランド状態。

そんな私たちの空間を邪魔する者が現れた。

グイ

『うおッ!!』

孝浩に抱えられていたはずの体が別の人間によって、抱えられ視線が高くなる。

思わず女を忘れた声が出たのはいたしかたない。

「お前ら、俺がいること忘れるな。」

『「ウサギッ!!」』

私を抱えたのは私の友人であり、私が丸川で文芸の編集を担当している大作家先生「宇佐見秋彦」である。

孝浩から離された私はそのまま秋彦の前に下され、クルッと体を回転させられて秋彦と向き合う形になった。

ギュっ

『グエッ!!』

正面から日本人とはいえ、彼は大男の秋彦に抱き締められたらそんな声だって出よう。

私が女って事は彼の頭にはもう微塵もないらしく、あり得ない力で抱き締められているような気がする。

だが、私は文句は言わないし。決して自分から離れようとしない。

拒んだが最後、どんな仕打ちを受けるのか私は知っているからだ。

だから私はここは。ここは。大人しく、彼に身をまかせていた。

私を抱き締めながら、彼は孝浩に言った。

「お前、結婚したのにコイツとこんな事やってるのか?」

私の親友である孝浩はついこの間、結婚したばかりなのである。

新婚の彼が年齢の近い女と抱き合っているのは問題だと彼は言いたいらしい。

そんな秋彦の発言に孝浩はさも当然のように答えた。

「真奈美がここにいたら、真奈美もまざってやるぞ」

そうなのだ。

ここに彼の妻。高橋真奈美がいたらそうするだろうと私も思っていた。

真奈美とは大学で知り合った私の友人だった。

そんな彼女に孝浩を紹介したのも私だった。

最初はなんか熱い火花がバチバチと飛んでいた両者だったが、いつの間にか仲良くなり結婚まで誇んだのだ。

ちなみになんでそうなったのかは私にも分かりかねるところがある。

リアルの恋愛は少女漫画のように分かりやすくないのだ。

私は言い合ってる二人の男の会話を聞きながら、ボーっとしてた。

そんな時だった。

「沙羅さん!!」

もはや無心となっていた私の頭に耳から入る情報から、聞き覚えのある声が私を呼んだことだ。

この部屋にいると思っていたのはどうやら私たち3人だけではなかったようだ。

その人物が誰かを認識した私はグワッと秋彦の胸に埋められていた顔を上げてその人物を見て頬を緩めた。

『美咲ッ!!M大合格おめでとう!!』

私の視線の先には孝浩の弟である、高橋美咲が立っていた。

彼とはたしか孝浩との付き合いが中学生だったからなのでそのころから美咲は知り合いである。

最初にあった小さい少年はもう立派な青年になり、ついにこの春。念願だったM大に合格したのだと、兄バカである孝浩から聞いたのであった。

「ありがとう。沙羅さん!!」

私の言葉に嬉しそうな笑顔をしてくれる彼に私も連れられて笑った。

(本当に可愛いなぁ〜。美咲は・・・)

そう和んで、二人で笑い合っていると顎を掴まれ、正面を向かされた。

自然と正面は秋彦の顔であった。

どうやらかなりの不機嫌らしい、と無表情から読み取った。

「・・・・お前は俺と美咲どっちがいいんだ」












『普通に美咲』

A.可愛い生き物と休暇です!!

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