3 Q.あの日の自分に会えるならなんと言う?
それは優しい面持ちの人だった。
廃刊寸前のエメラルドをたった一人で支えている彼女の噂は丸川では有名だった。
不安と期待が入り混じった複雑な感情のまま初めて彼女にあった。
『どうも、はじめまして。エメラルド編集部、編集と一応、仮編集長をやらせてもらっています。綾部沙羅です。みなさんこれからよろしくお願いします。』
そう言って綺麗にお辞儀した彼女につれられるように俺たちもお辞儀をして自己紹介をした。
『みなさん編集のお仕事の経験があると聞いております、のでサラッと仕事の内容をお教えしますね』
彼女は丁寧に仕事内容を教えてくれてとても優しい人なんだなと思った。
ここに移動すると知った時の隣のサファイア編集部の憐みの目はきっと俺の気のせいなんだと言い聞かせた。
『とりあえず、一通りの仕事の手順は教えましたので。明日から業務の方よろしくお願いします。』
そう言って笑う彼女に俺はこの部署でやっていけると確信した瞬間だった。
ドサッ、ドサッ、ドサッ
目の前に積まれたのは少女漫画の山、山、山とほほ笑む彼女。
『つーことで、今夜少女まんが100本ノックとでも行きましょうか!!』
え!?
とまどう俺たちをよそに彼女は更に笑みを深めて言った。
『あと、明日から今日教えたこと間違えたら即締め上げるんでそこんとこよろしくおねがいしますね!!』
そう生々しいほどの笑顔で言った彼女の言葉は本当だった。
『おらっ!手を動かすなんて猿でもできるんだよ。人間なんだろ進化してんだろッ!混線電話で話しながら作業しろや!!』
「うえ〜〜〜〜〜。綾部さんの鬼ぃいいいいいいい。」
A.騙されるな、その人はほほ笑む鬼だ。
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