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それはある日の出来事であった。

私が今日も勉強に勤しんでいて、ノワイユ夫人はそれを近くで見守っている。

そんないつも通りの風景に突然の来訪者が現れた。

「ノアイユ夫人!陛下が及びです。すぐにお出でになられるようにと!!」

そう切羽詰った様子で男が現れ、ノアイユ夫人は驚愕な様子をする。

男の様子からして何やら火急のようだ、しかも何やらよろしくない内容とは想像がつく。

「すぐに向かいますッ!!」

そう言って向かおうとしたノアイユ夫人を私は引き留めた。

『ノアイユ夫人、あなたが行くことはありません…私が行きます。』

「ですが、アントワネット様」

『いいです、どうせ私に伝わるのだから変わりません』

どうせデュバリー夫人の癇癪にまんまと引っかかっているんだろう。

全く面倒な・・・・。

そう思いながら私は立ち上がり、周りの静止の声など聞かずに私は進んで行った。

『陛下、アントワネットに御座います。』

私がそう言って部屋に入るとそこには国王陛下とデュバリー夫人の姿があった。

彼女は私の姿を見てキッと鬼の形相に変化する。

えぇ〜。めんどくさいなぁ。なんて思いながら私は綺麗にお辞儀をした。

「私はアントワネットお付の人間を呼んだはずだが・・・」

声色からでも怒りが含められているのが分かる。

私は内心、大きなため息を吐きながらまっすぐと陛下を見つめて言った。

『私の事なのですから、自分で聞いた方が手っ取り早いと思いまして・・・。』

そう言った私には陛下はフンッと鼻で笑った。

「そう言うなら話は早い、なぜデュバリーに話しかけないのだ?」

『それはどうゆう意味でしょうか?』

私が聞けば、陛下は大きく言った。

「そのままの意味だ!!なぜデュバリーにだけ話しかけないのだ!!答えろ!!」

『私はデュバリー夫人だけに話しかけない訳ではありません。ほかの者には話しかけていませんよ』

てかその集まりにさえ出てないし。

「内親王とは仲がよいではないか・・・・。」

『内親王様たちとは話はしますが、いつも一方的にお喋りになられます。まぁ、会話のないようは何時も一緒なのですが』

そう言って私はデュバリー夫人を見た。

その視線に気づいた彼女は忌々しい表情をした。

「デュバリーは私の妾だ。それをないがしろにするとゆうのがどうゆう意味か分かっているだろう?」

そう聞いた陛下に私はイラッとした。

ふつふつと私の怒りがこみ上げるのが分かる。

この馬鹿な男は女のいざこざ問題で国をも引っ張り出すのかと・・・・。

そしてついに口にした。

「これはフランスとオーストリアの外交問題にもなり得るのだぞ!!」

プチンと何か切れる音がした。

そこまで言うのなら、こっちだって言ってやる。

『恐れながら申し上げます!!』

私の大声に二人は驚いた顔をした。

『私は初めてデュバリー夫人と会ったときにちゃんとあいさつをしております。なら、私がそれについて攻められる理由はありません。』

「しかし『更に、彼女は私に言ったのです。「オーストリアから来た王族と聞いてどんな方と思えば地味な服を着ているが、私によく似合ってる」とそう言ったのです。それを言われてどうして私が次からデュバリー夫人に態々話しかけなければならないのですか。』

そう言えば、陛下はバッとデュバリー夫人を見た。

見られた夫人は首を振るが、彼は彼女の性格を知っていてそれはあり得る話と知っていた。

『そこまでの侮辱の言葉を浴びせられたのです。初めに外交を揺るがそうとしたのはそちらの方です!!』

「なっ・・・・。」

『フランスの伯爵夫人・・・しかも国王陛下の妾となるお方がオーストリアの王族である私に公衆の面前で端をかかせたのですよ!!』

言葉を止めた陛下の向こうの驚愕した顔をした存在を見た私は言った。

『陛下、デュバリー夫人にお伝えくださいな。私に話しかけたいのならまずあなたが公衆の面前で私に謝りなさいと・・・――。そちらが謝らない限り私は金輪際、彼女に話しかけようなんて思いません!!と』

そう私が言えば、後ろのデュバリー夫人は黙っていなかった。

「そんな証拠がどこにあると言うの!!」

そう声を上げた瞬間、部屋の扉が開いた。

扉の向こうに立つ人物の姿を見て私はすぐさま立ち上がった。

『王太子殿下!!』

私がそう呼べば、殿下は優しい笑みを向けてくださった。

ホッと私は息をつく、彼が来てくれたのならこの事態は収束するだろう・・・。

「デュバリー夫人、私も聞きましたね。あなたが我が王妃を侮辱するところを。」

「なっ!!」

殿下はデュバリー夫人をしっかりと睨み付けながら、私と彼女の間に立った。

さすがイケメン、やる事もイケメンですな。

姫・・・いい人に惚れましたな。

なんてのんきな事を思っていると、殿下はいつの間にか私の手を掴んでいた。

「失礼します、我が妻は私が連れて行きます。」

陛下が私を呼び止めることはなかった。

そして殿下は急に立ち止まって振り返らず、ポツリと漏らした。

「そういえば、デュバリー夫人。」

「・・・・なんですか?」

「最近どうやら、オルレアン公と仲がよろしいようで…。」

その言葉に私がギョッとする番であった。

こんな攻撃的な殿下を見たことがないからである。

「な、なにをッ!!」

デュバリー夫人が反論しようとするが、殿下は聞かず部屋を出た。








「ご立派だ。アレクサンドラ・・・」

そう言った殿下の言葉に私は笑った。

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