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今日はベルサイユ宮殿に出る日なのである。
さぁ、出陣じゃとゆう勢いでベルサイユに行こうと支度をしているとノワイユ夫人が多数の侍女達をつれてやてきた。
「今日のドレスは何にしますか?アントワネット様」
そう言ってノワイユ夫人は私に煌びやかな大量のドレスを私に見せた。
どこからそんなドレスを持ってきたのだろう?
私のドレスは宣言通り(心の中だけだが)シンプルななるべくお金がかからないものにするようにと言ったのに・・・。
『ノワイユ夫人、私のドレスは何処です?それは私のドレスではありません』
「なにを言いますか、あんな地味なものアントワネット様にはふさわしくありません。それに、王族の方が煌びやかな衣装を着ずになにを着ますか?」
そう言って力説するノアイユ夫人に私も、後ろに控えているハルトもため息を吐いた。
『ノアイユ夫人』
「なんでしょう?アントワネット様」
すぐさま返事をし返すノアイユ夫人を真っ直ぐに見て私は言った。
『私はそんなドレスを着なければ王族には見えませんか?』
「え?」
驚きを示すノアイユ夫人、私はもうひと押しと思って口を開く。
『私はドレスを着なければ王族に見えないのですか?』
「そ、そのような事はッ!!」
ニヤッとその言葉を待っていたので思わず笑ってしまった。
『ではそのようなドレスは要りませんね。王族を示すのならば私のこの身ひとつで十分です。』
「あ、アントワネット様〜。」
夫人が困ったようにするが、ここは譲れない。
民が飢えているのに、なにが煌びやかな衣装だ。
上辺だけどれだけ着飾ろうとも、この国は財政難だと言う事を貴族達は知るべきだ。
私は何時ものようにシンプルなドレスのまま、ベルサイユに向かった。
「いいですか、アントワネット様。このベルサイユ宮殿では身分の低いものは身分の高い婦人に自分から声をかける事は絶対にございません」
『そうですか・・・。』
「そうでございます。アントワネット様は今やこのベルサイユ宮殿で最も高貴なお方・・・・アントワネット様?何を見てるのですか?」
アントワネットはノワイユ夫人の忠告を聞き流しながら、先ほどからずっと書類に目を通していた。
『今日のパーティーの出席者のリスト』
「まさか全員のですか?100人以上は来ますのよ!」
驚いた様子のノアイユ夫人にアントワネットは苦笑いをした。
『まさか』
そう言ったアントワネットの言葉にノアイユ夫人は安心したが次の瞬間、様子は一変する。
『後の半分は王太子陛下がご確認していますよ』
「ア、 アントワネット様!?」
驚くノアイユ夫人をよそにアントワネットは熱心に出席リストを見ていたのであった。
誰もが噂をしていた。
オーストリアから来たじゃじゃ馬姫は、大層気弱な姫らしい。
なんせオーストリアから来た日にもう寝込むほどの気弱さ。
そんなのが未来の王妃だと思うと気が思いやられる・・・。
このままデュバリー夫人が王太子に言い寄るんじゃないか?
なに?デュバリー夫人はもう王太子に目をつけているのか・・・。
当たり前だろう、王妃様に似て素晴らしい容姿なのだ。それをあの夫人が見逃すはずがないだろう。
きっとまた愛人の座でも狙っているのだろう。
そうだな、気弱な姫ならそんな事簡単にできるだろう。
ハハハハハハハハハハ!!
ギリッ!!
オスカルは剣を持つてを強く握りしめた。
それを隣で見ていたアンドレはオスカルの手を制した。
「オスカル落ち着けよ」
そう言ったアンドレにキッとオスカルは睨み付けた。
「これが落ち着いていられるか、だらけきった貴族どもめ!よくもアントワネット様の事を・・・」
アンドレは苦笑いをしながら、オスカルに言った。
「今に見てろよ、アントワネット様が現れたらきっと大口開けて驚くさまをよ」
そう言った瞬間の事であった。
「王太子殿下、王太子妃殿下のおなりです!!」
大声が響き、誰もが扉を見つめた。
ギィッと重い扉が開き、二人の姿が目に入った。
さぁ、出陣じゃ!!
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