14
夜も更けた頃に一人の男が部屋にやってきた。
それはルイ・オーギュストのちのルイ16世であった。
だけども私の知っている彼の容姿とはかけ離れた何ともイケメンがやってきた。
『王太子陛下、こんな夜更けになんのようですか?』
そう言って私はニッコリと笑う。
「・・・・・・・・・。」
陛下は私の顔をジッと見ている。
ちょ、イケメンに見つめられるのは少し恥ずかしいんですけど・・・。
そんな気まずい時間が流れ、そしてやっと陛下は口を開いた。
「やはり貴方は彼女とは違う・・・・。」
『ッ!!』
その言葉に息がとまるほど驚いた。
私とアントワネット様は誰が見ても見分けがつかないほどのソックリなのだ。
生みの親でさえも私たちを間違える。
そんな見分けのつかない私たちを初めて目の前の男が見分けがついたことに驚いた。
私は驚きの後に段々と喜びが浮かぶ。
『姫を・・・アントワネット様をお好きなんですね、王太子陛下。』
そう聞けば、王太子陛下は真剣な目で私を見つめた。
「あぁ」
その一言で十分だ。
私はニッコリとほほ笑み、そして大事に持っていた物を王太子陛下に渡した。
「これは?」
『アントワネット様からの手紙でございます。』
この人なら大丈夫。この人ならアントワネット様を幸せにできる。
腑抜けな男なら、手紙など渡す気などなかった。
でもこの人なら大丈夫と確信を持てた。
王太子陛下は驚きに目を見開き、手紙を受け取った。
『それから、アントワネット様からの言づけがございます。』
「あの方はなんと?」
『「私は貴方の事を何時も思っています」と・・・。』
「・・・・・・私も」
『はい。』
「「私もあなたを何時も思っている」と伝えてもらえますか?」
そう言われて私は更に笑みを深めた。
この人なら、私は全力で守れる。
『王太子陛下、一緒にあの方へお手紙でも書きませんか?』
「・・・・・あぁ」
そう言って、王太子陛下は笑われた。
私もニッコリと笑う。
メルシー伯に手紙の用意をしてもらい、一緒にあの方への手紙を書いた。
「そうだ、あなたの名前を聞いてなかった」
『・・・私の名前ですか?』
自分の名前を聞かれると思ってなかったので驚く。
その話なら、もう本国から聞いているだろうと思った私は謎に思った。
「あぁ、私はあなたの口からあなたの名前が聞きたい」
『・・・・・・・・・・。』
「一人の友人として」
なぜか心が温かくなると感じた。
誰も私の名前を言わない、言えない。
私はきっとこのフランスで本名を知られないまま・・・。
でもこの人だけが口にできる。
私をただ唯一、存在出来させてくてる存在。
『・・・・サラと申します』
それがあなただ。
ルイ陛下・・・・。
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