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「アントワネット紹介する、これがルイの従弟のオルレアン公だ」

その顔をアントワネットはジッと見つめた。

『はじめまして、オルレアン公』

ドレスの裾を掴んで、挨拶をする。

オルレアン公はニコヤカな人当たりのよさそうな顔をしている。

私もニッコリと彼と同じような笑みを向けた。

「これは、これは可愛らしい姫様だ。道中、大変だったそうで」

そう言われてアントワネットからニコッと綺麗に笑ってオルレアン公の目を見た。

「ッ!!」

オルレアン公は目があってビクッとした反応を示す。

その様子をみたアントワネットは更に笑みを浮かべ、口を開いた。

『えぇ、本当に・・・。』

そう言って、綺麗に作った笑みをオルレアン公だけに見せたのであった。




「姫様ッ!!」

自分の与えられた部屋に入ったら見知った顔が二つあった。

一人はもちろんの事の人物だが、もう一人はここに居るはずのない顔だった。

『メルシー伯?お久しぶりですね・・・。』

そう言えば、メルシー伯はなにやら興奮気味なようすである。

「お久しぶりではありません、姫様!!姫が崖から落ちたと聞いたときに…私めがどんな気持ちになったか。」

『崖から落ちたのは別に私のせいではありません。』

「だとしても、お一人でフランスに向かうなどと危険な行為ですぞ。また賊がいつ襲ってくるか・・・。」

『私がたかが賊ごときには負けません。ねぇ、ハルト?』

そう言って私はハルトを見る。

ハルトは私と目があって、大きくため息を吐いた。

「たしかに、姫に勝てるものなどそうそういません。」

「ハルト、そうは言ってもだな・・・。」」

『ね?言ったでしょう・・・』

そうメルシー伯に言ったらまた怒られた。




『それより、ハルト・・・あの人はどうでした?』

さっきまでの和やかな雰囲気を消して、私は王族の顔になる。

ハルトも緊張感を持った顔になる。さすが騎士である。

「黒に近い、灰色と言った所ですか・・・・」

『お前がそう思ったのなら、そうなのでしょう。私もさっきカマかけたら、反応したよ。』

そう言って私とハルトはお互いに嫌な笑みをしているはずだ。

そんな私たち二人の様子にメルシー伯が口を出さないのはきっとハルトが先に言っておいたのだろう。

『たぶんあっちも私が気づいていると気づいただろうね・・・こっから忙しくなるな』

そう言うとメルシー伯はギョッとした。

「・・・姫様、まさかワザとばれるようにやったのですか?」

『あっ!やっぱり分かる?』

「ッ!危険です!!あの方は力のある方なのですぞ、もし姫様の身に何かがったら」

大声を上げるメルシー伯に私は首を振って見せた。

『私はあの男を見逃すことなんてできない。』

「それは『あの男があの方に牙を向けるかもしれないと思うと私はゾッとする。』

あの方とはもちろん、マリー・アントワネット様の事だ。

『あれは自分が王になりたくて焦っている馬鹿だ。』

愚かな男、オルレアン公。

手を出すなら自分の身内までにしておけばいいものを・・・。

『何か行動を起こせば、必ず尻尾が出る。』

お前は私だとしても「マリー・アントワネット」に手を出したのだ。

オーストリアを敵に回したのだ。

『私はあの方が来るまで、あの方に降りかかる火の粉はすべて振り落すつもりだ…たとえそれが誰であろうと。』 

残念だったな、漫画の中ならすべて上手くいっただろうが。

だが私は甘くないんだよ。

覚悟しろ。












『完膚なきまでに叩き潰す。』

オルレアン公…否、ルイ・フィリップ2世。

私・・・マリー・アントワネットを敵に回すとどうなるか

教えてあげる。

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