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アントワネット様はオスカルにそう言って、従者に呼ばれて去って行った。
俺はオスカルに駆け寄う、未だにオスカルは固まったままだ。
仕様がない、あの強い視線を真っ向から見たんだ。
俺は横目だけでその強い目に固まったのだから、オスカルにとっては相当なものだろう。
だが俺は口を開いた。
「いいのか、オスカル?」
オスカルは俺の声でようやく正気に戻って俺を見た。
そして、何やら考える様子を見せていった。
「アンドレ…」
オスカルは俺だけに聞こえるようにそっと言った。
「この件には王家の誰かが関わっているようだ。」
「そんな・・・。」
「お前も聞いただろう、「詮索すれば命を落とす」と「王家の問題」ってきっと王家の誰かに違いない。」
「アントワネット様が居なくなって得する人物って・・・。」
「陛下の妾の「ディバリー夫人」が出るが、あの女は王家ではないとなると・・・・」
「「・・・・・・オルレアン公」」
二人の口から出た一人の人物、アントワネットが出したヒントを彼らは見事解読したのだ。
それを知ってしまった以上・・・放っておけないのがオスカルの性分だ。
そしてオスカルは大きくため息を吐いた。
「まいった。あの人は大変な搾取だよ、アンドレ」
「どうゆうことだ?」
「アントワネット様はわざと俺にヒントを与えたんだよ。これを聞いた以上、俺はオルレアン公を警戒するに決まってる。」
「それを狙ってとゆう事か?」
「あぁ、とんでもないお人だ・・・だが俺はとてつもなく嬉しい」
「俺もだ。」
「あの人が未来のフランス王妃だと思うと心強い。」
「ご無事でようございました。アントワネット様、私は僭越ながらアントワネット様の教育係となりますノアイユと申します。」
『よろしくお願いしますね。ノアイユ夫人』
そう言って私は笑顔で答えれば、頭を上げたノアイユ夫人は私を見て卒倒した。
「まぁ!!姫様、そのような恰好ではいけません!!今すぐ、お召替えを」
『えっ!!』
いや、別に今じゃなくてもいいんじゃないと言う前に私はそそくさと馬車に連行された。
そして態々、持ってきたのかと思うほどの量のドレス、ドレス、ドレスである。
こんなに豪勢だからフランス状勢は悪化の一途をたどるのだ。
城に付いたら私のドレスはあまりお金のかからないものに変えよう。
豪勢なドレスはとっととお金にして・・・。
なんて主婦のやりくりのように考えていると、オスカルの姿が見えた。
オスカルは私を見て驚いているようだ、まぁ顔はアントワネット様と瓜二つだし驚くのは分かるが・・・。
そんなに驚かなくてもいいじゃない。
そう思って、オスカルを見ているとノアイユ夫人は言った。
「オスカル隊長がアントワネット様を見つけてくださってようございました。さすがはジャルジェ家の一人息子」
『えっ!』
可笑しい、ここで普通なら女というはずなのに、一人息子?
どうゆうことだ?
『オスカルは女ではないのですか?』
そう聞いたノアイユ夫人は笑う。
「確かにオスカル隊長は女に間違われますが、れっきとした男ですよ。姫様」
マジでか!!
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