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フランスでは国民は三つの身分で分けられる。

第一身分は聖職者 数は14万人

第二身分が貴族  数は40万人

そして平民が続き 数は2600万人

明らかに貴族より、平民が多くその大半が飢えに苦しむ。

病気になっても医者に見せられず、子供を産んでも育てられない。

そうやって平民たちは華やかな貴族や王族、聖職者の裏側で血の涙を流しているのだ。

と、そう教えられて知っていたがそれは見るのと聞くのとでは大きな違いがあると私は思った。




荒れた街並みがそこに広がっていた。

『・・・・・ひどい』

人々は路上で転がり、物乞いをして

道端には用をたした後の汚物がそのままになっている。

ひどい・・・このような所ではどんな人間だってはやり病にかかる。

コレラやペストなどはこうゆう所で発生すると前、テレビで聞いたことがある。

私は街を歩いていて、あるものを見つけてしまった。

道端で倒れる子供の姿・・・。

あぁ、なんて。なんて。

今までの何も知らない自分を恥じた。

今まで普通に食事をしていた自分に恥じた。

そして、知ってもなお平気で人々を苦しめているフランス貴族に怒りを感じた。

これほど、これほどまで酷いとは・・・。

私はすぐさま子供に駆け寄り様子を見ようと手を伸ばそうとした時だった。

「…ソイツ、死んでるよ」

『え?』

聞こえた方を見れば、倒れている子と同じくらいの子供たちの姿。

その恰好はボロボロでやせ細っている。

その姿を見るだけで胸が締め付けられるような思いだ。

「ソイツ、三日前に倒れてそれっきりさ・・・」

そう言って私を見た。

『・・・・・・・・。』

その目には何も映ってはいなかった。

希望も幸せも夢も勇気も明日さえ何も写さない、ただのガラスのような眼だった。

それを見て急に涙が溢れる。

「なんで泣くの?」

『・・・・・・・・。』

「お姉ちゃんなんで泣くの?」

『・・・・・・・・。』

「僕らを可哀そうって思うから?」

そんな資格は私にはない、人を「可哀そう」と言って下にみる資格など私にはある筈がな
いッ!!

『いいえ。自分の情けなさに泣いているのよ』

「どうして?」

『泣く事しか、彼への弔いにしかならない。それ以外の方法を私は知らないから・・・情けなくて泣いているのよ』

「どうして?お姉ちゃんには出来るじゃないか。」

『え?』

驚いて目を見開いて子供を見た。

子供は私の目を一心に見つめている。

この子は何故それを知っている?

私は今、王族の格好ではなく庶民の格好をしているのになぜ分かる?

そして私は違和感を見つめた。

この子、似ているのだ。

あまりにも・・・・私の前で横たわる少年と。

背格好、髪型、顔はうつ伏せで見えないが似すぎている・・・。

「お願い、もう僕のような子を作らないで・・・お願いだよ」

その言葉に涙が溢れ止まらない。

私は何度もうなずき、そして涙を拭いて彼に最高礼をした。

『誓います、絶対に皆が幸せで笑いあうような国を作ると・・・。』

そう言えば子供は嬉しそうに笑った。

「本当?・・・うれしいな」

そう子供が言った瞬間、目を覆うほどの突風が吹き荒れる。

そして次に目を開けたら子供の姿はどこにもない、前に倒れる子供の姿もどこにもない。
あるのは・・・・。











『・・・・必ず、約束するわ』

絶対の誓いと流れる涙だけだ。

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