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マリー・アントワネットが崖へと転落した。

その知らせはすぐにフランス側にもオーストリア側へとも連絡が入った。

「無事なのか?アントワネット様は無事なのか?」

そう、転落したと連絡があったが肝心のアントワネットの安否の情報は入ってこなかった。

それはアントワネットが連れの者達をその場から逃がしたのもあり、それは結果としてはお付の者達を救ったが、逆に自分を苦しめる結果になったのだ。

フランスは荒れたなにせ、その姫を崖から転落させたのはオーストリアに反感を持つ少数の貴族と聞いて、戦争の火種になると確実に思っていたからである。

そうゆう風に仕向けた男、オルレアン皇は大変焦っていた。

生きて連れてくるようにと命じたハズが、アントワネットの転落を聞いたからである。
アントワネットがお付の人間を逃がしたおかげで目撃者が多くできたのだ。

それはアントワネットの起点であった。

そして、アントワネット付のオーストリアの騎士がきっとこの事をマリア・テレジア陛下に話す。

彼女は聡明な人間だきっとすぐにでも犯人を突き止めるに違いないとそんな心配がオルレアン皇の頭で何度もよぎった。




オーストリアでは知らせを聞き取った本物のアントワネットがあまりのショックに気を失った。

それと打って変わって、女王陛下であるマリア・テレジアは取り乱すことなくたった一言だけ口にした。

「そうですか・・・。」

殺されると覚悟していたフランス大使たちはその言葉に目を大きく見開いた。

それを聞いた、彼の息子であるヨーゼフは声を上げた。

「母上、マリーが崖から転落したのですよ!!なぜそのように落ち着いていられるのです!!」

そう言われてマリア・テレジアは息子に笑顔を向ける。

その笑顔が逆にフランス大使たちの恐怖心を一層に煽る。

「ヨーゼフ、あの子がそんな玉に見えますか?」

「母上?」

困惑する様子を抑えられない王子は母を見た。

その顔には絶対的な自身が見える。

「あの子がこれくらいの事で死ぬものですか、あの子には何者にでも邪魔の出来ない強い意志があります。それも神を主動かす意志を・・・。」

それを聞いたヨーゼフは口を閉じ、何かを考える素振りを見せる。

マリア・テレジアはもう言う事はないとゆうふうに黙ってしまった。

まるで何かを待っているように・・・・

「陛下ッ!!」

つんざくような叫び声とも言ってもいいほどの大声が響きわたる、それを聞いたマリア・テレジアは口に笑みを作って王座から前を見渡した。

そこに居た人物を見て、彼女は更に笑みを浮かべ口を開いた。

「待ってましたよ・・・エンゲルハルト卿」

そこに居たのはアントワネットの護衛として付いて行ったハルトがそこに立っていた。
彼の服装はボロボロになっており、どれ程壮絶な現場だと分かった。

それを見たヨーゼフは最愛の妹を思って、顔をそむける。

そして息を荒くしていたハルトはスゥーッと大きく息を吸って口を開いた。

「申し訳ございません陛下。私がついてながらのこの失態、どんな処分でも受ける所存でございます」

そう言って頭を下げるハルト、フルフルと震える姿にどれ程彼が悔しと屈辱を受けていると分かった。

「それはこの後決めます、さぁ。言いなさい、ハルト」

威厳のあるその声に瞳に見つめられ、ハルトは口を開くしかない。

顔に大量の汗を浮かべて、それを口にした。

「マリー・アントワネット様は・・・・。」







「ご無事でございます。」

ガタっ!!

その言葉にフランス大使とヨーゼフ王子が腰を抜かして安心した。

マリア・テレジアはやはりっといった顔でニンマリとほほ笑む。

「それで、この場にそのアントワネットが居ないとゆう事は…いったい何を言われたのです?ハルト」

そう言われてギクッとした表情のハルト、顔をうつむかせてかなり焦った様子である。
そんなハルトの様子に回りの者は不思議に思う。

そしてハルトは口を開いた。

その顔はもうどうにでもなれといった表情。まぁ、やけくそと言った方がいいだろう。

「アントワネット様は『今回の事は丁度いいからこのままフランス情勢を見ながら行きます』と仰られて、私の静止を聞かずにそのままお一人でフランスに向かわられました。」

そう言って頭を抱えながら言った言葉にマリア・テレジア以外はギョッとした。

王族たる女性がまさか、フランスまで共をつけずに行くといった発言に驚く。

これは一大事だと焦っている周りの面々を無視した人がいた。

「フフッ・・・・・・ククク。アハハハハハハハハハ!!」

「は、母上!!」

それはマリア・テレジアその人である。

決してそのような豪快に笑う所を見たことがない者達が驚いた顔をするのを無視してマリア・テレジアは目に涙を溜めながらハルトに聞いた。

「それで、あの子は他に何を言いました。」

「はい。それが・・・『少し遅れるかもしれないが、まぁ責任はそちら(フランス)にあるのだから許してくれ。
私の事は慣れない土地に来て、臥せっているとでも国民には連絡を頼みます。この連絡を貴方方に言うものを先にフランスへ連れっててください彼が私を私と言える証人として・・・・。』と」

それを聞いた、マリア・テレジアは一つ返事で頷いた。

「わかりました。・・・ハルトお前の処罰は国外追放です。」

「・・・・・・・はい。」

それを聞いたハルトはうつむく。

マリア・テレジアは笑ったままだ。

「とっととフランスにでも行きなさい。」

その言葉にハルトはハッとして顔を上げ、正面からマリア・テレジアを見つめた。

「ただし、今度こそあの子を守りなさい。いいわね」

その言葉にハルトは何か耐える表情をして、深々と頭を下げて答えた・

「はい。」








『さぁ、始めるわよ。マリー・アントワネット』

フランスにたどり着いた、未来の悲劇の女王は・・・。

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