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フランスへと出発の数時間前に私はアントワネット様に呼ばれ、またアントワネット様がいる部屋へと足を踏み入れた。

そこには一週間前とは違うベットではなく、椅子に座って佇むお姿に私は慌ててしまった。

『姫ッ!なぜベットでお休みになっていないのです!?寝ていなくてはお体に障りますよ』

そう言った私にアントワネット様はクスクスと笑っていた。

「大丈夫ですよ。サラ…それにしてもお前は私の姉のようですね」

突然の発言に私は驚いてしまった。

『あ、姉ですか・・・・?』

「・・・・えぇ、本当に」

そう言ってアントワネット様は何かに耐えるような表情をしたがその理由は私には分からなかった。




「そうそう。貴方に頼みごとがあったのです」

そう言ってアントワネット様は手紙を私に手渡した。

『手紙・・・ですか?』

アントワネット様は頷いて答えた。

「この手紙をルイ王子に渡して頂けませんか?サラ」

『それはもちろん大丈夫ですが・・・。』

(なぜ一度も会ったことのない王子に手紙を?)

なぜ?とゆう顔をするとアントワネット様は恥ずかしそうな顔で言った。

「そしてこう伝えてほしいのです。「私は貴方の事を何時も持っています」と…。」

そう言ってアントワネット様は今まで気づかなかったが手に持っている物を抱き締められた。

きっとルイ王子の肖像画なのだろうと思った。

やはり、私という異分子が介入した事によって原作とは違う話になっている。

アントワネット様の替え玉として私を、そしてアントワネット様はルイ王子に恋をしているようだ。

そう思うと私は内心、胸躍るのが止められない。

これならきっと変えられる、あの悲劇の運命を・・・と。




「この部屋から一歩出たらあなたはサラではなく、マリー・アントワネットになる事を肝に銘じておきなさい」

出発前の陛下の挨拶で陛下は私にそうおっしゃった。

元より自分の領地を出た瞬間からその気持ちでこの宮殿に来たのだ。

私は深々と頭を下げた。

『もちろんでございます陛下。私、マリー・アントワネットはお母様とオーストリアのために…。』

そこから先は言葉に出来なかった。

それは陛下が私に抱きついていたからである。

『陛下?』

「…何も言うな。今は…何も言うな」

そう言って陛下は更に私を抱き締め、小さい声で「ごめんなさい」と言った。

私はその言葉に返事をすることはなく、聞かないフリをした。












私の名前はマリー・アントワネット。

今日からフランスの王子ルイ16世に嫁ぐのでございます。

以後お見知りおきを・・・。

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