Beginning is ZERO of number.4



 早くも二時間が経過しようとしていた。
 噴き出る汗を拭い、霊力を『双天帰盾』に注ぎ込み、効果を更に強くする。
 その隣りでは、巨体の男・ハッチこと有昭田鉢玄が、彼女と同じように、前に横たえられているひよ里に手をかざして、己の鬼道に霊力を注ぎこんでいた。
 二人から少し離れたところで、仮面の軍勢一行が、固唾を飲んでその様子を見守る。
「あの子が人間で、良かったな」
 織姫を遠目に見ながら、ラブこと愛川羅武が呟く。たしかに、死神だったりしたらそう上手く見つけて、ここに連れてくることはなかなか難しかっただろう。
 ドラム缶の上に腰かけ、リサは足をブラブラと揺らした。
「せやけど、ひよ里、目ぇ覚めたら怒るで。きっと」
「そーやろな」
 舌につけているピアスを、口の中で弄ぶ。
「でもさぁ、どーしてはっちん、あの子連れて来いって言ったんだろ?」
 白(ましろ)の言葉に、拳西は改めて織姫とハッチを見つめた。
「前に“術が似てる”って言ってたし、あの織姫って人間の能力(チカラ)と鬼道を合わせやすいんじゃねぇの?」
「でも、思ったより時間かかってるみたいだね」
 ローズが膝をたて、そこに顎をのせた。
 ふと、リサは平子に目を向けた。
「ところで、一護のことやけど、ほんまなん?」
「織姫ちゃんの言うてることがほんまなんやったら、ほんまや」
 彼等が一護の死と、破面となってかつて仲間であったルキアや恋次に刀を向けたことを知ったのは、織姫から聞いたのが初めてだった。
 そもそも一護とは四年前以来会っていなかったし、とうの本人は霊力を失っていたので、霊圧の消滅も感じ取ることはできなかったのだ。
「また、何か始まるってか?」
 ラブの科白に、ローズが肩を竦めた。
「考えたくも無いね」
 白はいまひとつ理解がいかないのか、首をひねる。
「ベリたんも虚化した・ってこと?」
「バカ。虚化じゃなくて破面化だ。っつか虚化の特訓は俺達がみたんだろうが」
「べーっ! 分かってるよーっだ!」
 すぐに訂正した拳西に向かい、白は舌を出した。
「どっちにせよ、何となく百年前と被るなぁ」
 百年前――――藍染の企みによって、「実験材料」にされた平子達。彼等は、虚化の発症が原因で、尸魂界を離れることになったのだ。
「…気分、悪いわ…」
 眉を顰める平子には、怒りの感情がよくみてとれた。そしてそれは彼に限ったことではなく、他の者も同じように、密かに歯噛みしていた。

 それから約一時間後、織姫とハッチは同時に光を消し、崩れ落ちるようにして倒れた。
 気付いた平子達は、慌てて二人のところへと駆ける。
「しっかりしぃや、ハッチ」
「はいデス…」
 荒く呼吸をしながら、ハッチはリサに答えた。
 また、織姫も肩で息をしており、彼女を平子が助け起こした。
「大丈夫か? 織姫ちゃん」
「あ…う、うん…ありがとう。大丈夫だよ」
《大丈夫なモンかよ!!!》
 突然の大声に、織姫は身を竦ませ、仮面の軍勢全員は瞳をぱちくりと瞬かせた。
 ポンッ、という音と共にポケットにつけられたヘアピンから出てきたのは、『盾舜六花』の火無菊、梅厳、リリィ、舜桜、あやめ、椿鬼だった。
《長時間の能力発動で大丈夫なわけねーだろ! このバカ野郎が!!!》
《わぁ! 椿鬼、我慢しろって言っただろ!? ここは抑えなよ!》
 主である織姫の顔の正面で怒鳴り散らす椿鬼を、リーダー格の舜桜が後ろから宥める。
 すると、怒りの矛先が彼に向けられた。
《元はといえば、テメェもテメェだこのチョンマゲ隊長! この女と一緒になって長時間耐えてるのがいけねぇんだ! フラフラじゃねぇか!!!》
 ちなみに、『双天帰盾』を担う六花は、舜桜とあやめである。
 椿鬼と舜桜の間に、リリィが割って入る。
《ああ〜、もう、やめなさいって。舜桜が疲れてるの心配なら、声量を抑えたらどう?》
《リリィさんの言うとおりですよ! 椿鬼さんもここは大人らしくですね!》
 火無菊が一緒に怒ろうとするところで、
《儂は、たしかに長時間の使用は体に悪いので、感心せぬが》
《キエェェイ梅厳っ!!!》
 悲鳴に近い声をあげ、恨むような視線を梅厳に送る。
 『盾舜六花』のやりとり見、平子は呆れた様子で織姫に尋ねた。
「…何やねんな、こいつら?」
「えっと…あたしの能力(チカラ)? かな…」
「“?”って何だ…」
 ラブが苦笑する。
 すると、あやめが一人で、織姫のところへスーッと近づいてきた。
《とりあえず、彼女の霊圧は安定しました…》
 その一言で、全員から安堵の溜息が漏れる。
「ありがとう、あやめ」
《御礼なら、治療にあたっていたもう一人の方にしてください》
 ハッチの方を見て、あやめは笑った。
《あの方のおかげで、私も舜桜も、いつも以上の力を発揮できたので》
《お、おい!? 舜桜!?》
 突然、椿鬼の緊張した声が聞こえた。
 一斉にそちらを向いてみると、舜桜がぐったりとしており、椿鬼に支えられて何とかそこに留まっているといった状態だった。
 『盾舜六花』の全員が、慌てて近づく。
《舜桜さん、大丈夫ですか!?》
 火無菊の声に、舜桜は力なく笑って答える。
《何…とか…》
《そんな顔で言われても、安心しないわよ!》
 リリィが叫ぶと同時に、今度はあやめがふらりとバランスを崩し、下へと落ちていく。
《あやめ!?》
 梅厳が、あやめの体を抱きとめた。
《…大丈夫。気を失っているだけのようだ》
《いや気を失ってんなら大丈夫じゃねぇだろ!?》
 冷静に言う彼に、椿鬼がすかさず突っ込んだ。
 彼等は織姫の能力であって、彼女自身だ。その能力がここまで疲れているとなると、織姫の疲労は言うまでもなく絶大である。
《ちっ…! おい、女! 俺達はとりあえず戻るが、さっき言ったように、自分の能力の程度ぐれぇ知っとけよ!!! 俺とか力有り余ってるんだからなっ!?》
 最後の余計な言葉に対し、眉を顰めたリリィが彼の頭をスパンと平手で叩いた。
《なんだよ!?》
《ちらっと文句つけないの。それじゃ、またね、織姫さん》
 すると、『盾舜六花』は一瞬で花形のヘアピンに姿を変え、カチン、と二つ、その場に落ちた。
「…えらく…静かなったなぁ…」
 リサが腰に手をあて、息を吐く。
「あはは…ご、ごめんね…」
「とりあえず、休んだ方がいいんじゃない? 寝心地は悪いかもしれないけど、毛布敷くから」
 未だに息が荒く、顔色も悪い織姫を見かねて、ローズは階段の陰に積み重ねていた毛布を取り出した。
 四年前。藍染との戦いの際に、ひよ里は市丸ギンによって体を両断されてしまっていた。ハッチの治癒技・“五養蓋”と、卯ノ花の鬼道によって、思いのほか傷は早く完治したひよ里だったが、彼女は目を覚まさなかった。
『あとは彼女が生きる事を諦めなければ、いずれ目を覚ますでしょう。彼女がそれを諦めるかどうかは、私よりも貴方がたの方が、よく知っている筈です』
 誰もが目を覚ますと思っていた。それに、ひよ里はこの程度で生きることを諦めるような素直な子でもなかった。
 しかし現実では、四年経っても眠り続けている。
 異変が起きたのは、まだ朝早い時間だった。
突然ひよ里が魘され始めたのだ。この四年間ずっと、ただ静かに眠り続けていたのに、身をよじりながら意味の分からない呻きを何度も漏らす。霊圧までもが乱れ始め、ハッチはとっさに“五養蓋”を使ったが、この治癒はあまり効果を示さなかった。
『…織姫サンを…連れてきてもらえまセンか』
 ハッチが治療にあたりながら、平子達に言った。
『ワタシだけの力でハ、とても無理デスが…ひょっとすると、織姫サンの力ナラ…』
 それは大当たりで、二人の光に包まれたひよ里は、やっと落ち着いて定期的な呼吸をするようになった。そして、その治療の間、ここに来るまでに歩きながら織姫が話してくれた一護のことを、平子達は考えていたというわけだ。
 織姫は、ローズが取り出した毛布を見て、慌てて手をぶんぶんと振った。
「だ、大丈夫です! それに、ホラ、あたし、大学行かないといけないし!」
 午前の授業にはもう間に合わないが、今から急げば何とか六時限目くらいには間に合いそうだ。
「その状態で行く気なのか? 大学って命削ってまで行くとこなのか?」
 拳西がヘラヘラと笑う織姫を指差しながら、ローズに問う。
「いや僕に訊かないでくれないかな」
 織姫が辛うじて呼吸を整えると、ふらつきながらも立ち上がって、床に落ちているヘアピンをポケットに付け直した。
「そうだ。ただ、お願いがあるんです、平子君たちに」
 仮面の軍勢は、皆揃って顔を見合わせる。
「…黒崎君のこと、何でもいいから、何か知ってることがあったら教えてくれませんか?」
「そないなこと言うても、ウチらはあんたから聞いて初めて知ったんや。何も知るはずあらへんやろ!」
 リサの言う事も全くである。織姫は俯いた。
「…まぁ、でも、分かった」
 平子が徐に顔を上げ、並びのいい白い歯を見せて笑う。
「一護のこと、何かしらこれから掴んだら、織姫ちゃんに知らせる。それでええな?」
 仮面の軍勢全員が、平子を凝視した。
 織姫は、「ありがとうございます!」と頭を下げると、危なっかしい足取りで外へと出て行った。
 それを見送ったラブが、手に持っていた少年週刊雑誌・ジャンプを閉じる。
「…いいのか? シンジ」
「何がや」
「織姫ちゃんに知らせるって話だよ」
 ローズは、出した毛布をもう一度畳みなおして、階段の下に再び積み重ねる。
「ええ。人間嫌うひよ里にはあれこれ文句言われるやろし、お前等もあんま賛成しとらんのも分かっとるけど。……一護のためにもなぁ」
 一護は、仲間だ。死神であり、仮面の軍勢でもある彼は、平子達の仲間なのだ。仲間を見捨てるなど、有り得ない。それは、かつて五番隊隊長をやっていたときから変わっていない、平子の自分への掟だ。
 拳西が、面倒臭そうに言った。
「違げぇよ。俺達が言ってんのは、ひよ里に殴られることがいいのか・ってことだ」
 その言葉に、平子はぽかんとなる。
 彼等が、笑っていた。平子に対し不満を持っている者は、いない。
 苦笑して、頭を掻いた。
「……それは、それや」
「シンジ、今のうちに御礼言っとくわ。ありがと」
「縁起でもないこと言うなやリサ!」
「ばいばーい、シンジ〜」
「白!!」
 全員が呆れたように笑っている。平子はやれやれと頭を振ると、顔を俯かせ、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「……しゃあない……俺らも久々に…動くとしよか」
 仮面の軍勢一同、緊張に満ちた顔になったのは、言うまでもない。

   *   *   *

 九番隊隊舎牢の中で、朽木ルキアは正座をして、高い位置にある小窓を通して、小さな空を眺めていた。ここ数日間、ずっとこの状態だ。別に誰もわざわざこの隊舎牢にやってきたりしないし、何も持っていないゆえに脱獄は無理だ。
今現在、斬魄刀は取り上げられており、彼女の両手首には白銀の手錠がつけられている。かつて藍染が死を装ったとき、ギンが殺したと思った雛森は、怒りで我を忘れて斬魄刀を振り回したため、隊舎牢に入れられたことがある。そのとき、彼女は鬼道を用いて脱走したのだ。そのときのことがあって、技術開発局で対策用の物が作られたらしく、霊圧を完全に封じ込めるこの手錠が作られたのである。実際はこういった手錠は元々存在したが、霊圧が大きすぎる場合封じ込めきれる確率が低くなるので、強化したものが作られたというわけだ。
 足音が聞こえ、ルキアはゆっくりと振り向いた。鉄格子の先に、檜佐木が見えた。
「…檜佐木隊長…」
「…よう。思ったより元気そうだな。朽木」
 たしかに、以前六番隊隊舎牢に収容されていたとき、彼女は生きた顔をしていなかった。瞳に光はなかったし、ただの無力な罪人だった。しかし今、ルキアの瞳はとても強く、罪人の顔ではない。
「……檜佐木隊長……ここから…出していただけませぬか」
「ダメだ」
 檜佐木を睨み付けた。失礼であることは承知の上だ。
 ルキアは夜光によって尸魂界に連れ戻された。目が覚めた時には既にこの隊舎牢に入れられていたが、見張りから話を聞いたところ、白哉と夜光と檜佐木の三人が、必死になって減刑を請い、結果として隊舎牢に入るだけに留まったそうだ。総隊長も、さすがに隊長格三人の申し出となると、なかなか決断しかねたのであろう。
また、浮竹が十三番隊の隊長をおりて、零番隊に昇進したという話もあとで聞いたことで、ルキアは大変驚いていた。浦原がそこに入ってくるという話を聞いた時は、頭が混乱しそうになったほどだ。
書簡を出す相手であった浮竹がいなくなったということに寂しさを感じたが、そればかりを気にしてはいられなかった。
「知ってるぜ。瑠璃谷から聞くまでもなかったが、お前等死神代行の魂魄の行方を探ってるんだってな」
「一護は私達の大切な仲間です。それを放っておくのもいかがなものかと」
「だが奴の足取りは一切つかめてないんだろ? 技術開発局の霊圧探知にも、一応局の連中が注意して見てるらしいが引っかからないらしいしな」
 ルキアが訝しげに眉を顰めた。
 おかしい。一護は、かつてとは多少違うといえど、彼と判別できる霊圧のまま、現世に一度現れている。なのに霊圧探知に引っかかっていないとはどういうことだ。
「…どうしてそこまですんだ」
「え」
「どうして死神代行をそこまで気にかける。自分がこんな罰受けることになってまで、奴に対しすることなのか?」
「はい」
 即答したルキアに、檜佐木は言葉を詰まらせた。
「一護は人間なのに、最後まで私達死神のために、尸魂界のために戦ってくれたのです。あやつが力を失った原因は、我々護廷十三隊の弱さでもあるはず。いえ、一護ほど戦う覚悟があったのか怪しいところです。それに」
 ギュッと拳を握りなおす。
「一護は私を何度も救ってくれました」
 忘れたことなどない。
 ずっと自分が、彼の運命を捻じ曲げてしまったのだと思って、自分を責めていた。でも彼は、こんな自分に感謝すると言ってくれた。双極の丘で、処刑台を破壊した一護は、これまでになく強くなっていた。そのときに初めて、「こいつに死神の力を分けてよかった」と思えた。
 一護は救ってくれたのだ。どん底に沈み込んでいた自分を、自らの身を砕いてまで。
 だからその命を大切にしようと思ったし、仲間としてあり続けることを誓った。
「今度は私が、一護を救う番です」
 迷いなく言い切るルキアに、檜佐木は目を細めた。
 面倒で、頼もしい副隊長だ。
「……でも、出すわけには、いかねぇんだ」
 だが、隊長として、言うべきことはある。
「お前は現世に行く際、副官章を外して行った。これは職務放棄と見なされる。一応減刑されたおかげでこの程度だが、副隊長の座が危うくなったのも事実だ。こういうことになること、分からなかったわけじゃねぇだろ」
 ルキアが気まずそうに瞳を彷徨わせる。
「どうして外した?」
「……」
 見張りの死神が、居心地悪そうに俯いた。
 申し訳ないと思いつつも、檜佐木はただ黙って、ルキアの答えを待った。
「…檜佐木隊長の仰るとおり…私は副隊長として、とるべきではない勝手な行動をおこしてしまいました。……それは何度も考え、そして、本来なら絶対にやってはいけないことだったことは、よく分かっております……」
 意を決し、顔を上げて、檜佐木の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「現世に赴く際、私は死神をやめる覚悟はできていたのです」
 ぷつっ、と、何かが切れる音がした。
 檜佐木が凄い形相で叫んだ。
「馬鹿野郎!!!!」
「莫迦で構いませぬ!!!」
 彼の怒鳴り声と同等のレベルで、激しい叫び声をあげて反論した。
「私はハンパな覚悟で現世に赴いたつもりはございませぬ! 恋次など処刑も覚悟の上で現世にいるのです! 仲間を救うのに自分のことを省みる必要はありません!!!」
 檜佐木は、ここまで強く仲間を思う気持ちがあることに驚いていた。それと同時に、もっと自身の感情を抑えることができるようになってからではないと、ルキアは副隊長として相応しくないことがよく分かった。
 仲間を思う、強すぎる気持ちは、ときにその仲間を傷つけることになる。
 そのことを、何とかして伝えなければと、檜佐木は言葉を選んで、口を開きかけたときだった。
 全てを包み込むような、強大な霊圧が突如現れた。檜佐木とルキアが同時に目を見開く。
「一護……!」
この霊圧は、間違いなく、黒崎一護のもの。しかしそれに混ざった、慣れない虚の霊圧が、ただ単に彼が現れただけではないことを物語っていた。
「どういうことだ!? くそっ!!!」
 ルキアも、たった三日であの一護を忘れることはできなかった。この牢の中にいて、破面となった一護の顔を思い出すことは度々あった。その都度、「何があったのだ」と一人呟いていた。見張りは大変不思議そうな顔をしていたが、気に留めた様子はない。
 この重い霊圧は、その彼が、尸魂界に現れたということだ。
 檜佐木が慌てた様子で踵を返す。
「お待ちください! 檜佐木隊長、私も!」
「何言ってんだ!? 出すわけにはいかねぇんだよ!」
「今の一護は、一護ではないのです!!!」
「…?」
 立ち上がり、鉄格子を掴みながら必死に訴える。
「お願いします! 一護のところに行かせてください! 私には、あやつに訊かねばならぬことがあるのです!」
 今の一護は、耳を貸してくれないかもしれないけれど。それでも尋ねたい。自分達は敵でないことに気付いて欲しい。否、何より、思い出して欲しい。
 檜佐木が苦しそうに顔を歪めた。以前なら、多分同情して出してしまっている。しかし、現在彼は、隊長という肩書きがあるのだ。
「……すまねぇ!」
 言って、走り去る。
「檜佐木隊長っ!!!!!」
 ルキアの叫び声に、隊長となった檜佐木は振り返らなかった。




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