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『姉さん、ボクは反対だよ。プライベートに口出しする気はないけど、月山さんは見た目は良いけど性格にかなり難があるから。 』
『ヒカルさん、見た目か押されてOKしちゃったなら早く別れた方がいいと思うよ。』


店を後にしてからあんていくの二人から来たメールに、ヒカルは思わず苦笑する。キッチンで夕食の準備を始めると、家まで着いて来てしまった月山がリビングでゆったりと寛いでいた。


「良い眺めだね…。結婚を前提に、とでも伝えておけば良かったかな。」
「付き合う前から既に猛反対のメールが来てるんですけど。」
「ハハッ…楽しいね。単純で。彼らはホント退屈しないよ。」


悪びれた様子もなく、月山は軽く肩を竦めた。段々と解ってきた。彼は自分ではなく、金木研と霧島董香の反応を見て楽しんでいる。つまる処、間に挟まれる人間は誰でも良いのだ。さて、どうしてこの状況を打開したものか。ぼんやり今後について考え込んでいると、いつの間にか背後に歩み寄ってきていた月山に彼女は気付かなかった。

ちゅ、首筋に口付けられて鳥肌がたつ。
思わず、悲鳴を上げて逃げ出そうとするがガッチリ抱き込まれて動けない。フラッシュバックのように甦る情事。それは身体を熱くさせるような甘いものではなく、恐怖による震えしか誘わなかった。


「…そう、怯えないでくれ。悪い気分じゃないが、ずっとそうでは楽しめない。」
「なら他の女性を探したらどうですか?…貴方の容姿があれば簡単でしょう。」
「フフ…そうだね。だけど、言っただろう?僕は今、君に夢中なんだ。ねぇ、この間の傷はもう治ったのかい?」


するりと服の中に入ってくる手にヒカルは抵抗するが、相手はくすくすと笑うばかりだ。
少し乱暴に肩口のシャツを開けられて身体を向かい合う形に反転させられる。傷は完全に塞がっているが、噛み付かれた痕は消えない。みみず腫のように残る傷痕を月山はじっと見つめると、そっと指を滑らせた。


「…つい先日まで知らなかったよ、人間の皮膚はこんなにも治りが悪いなんて。」
「…え、」
「いつも食べた後の事なんて興味無かったから。すまなかったね。」


傷痕にそっと口付けて、月山は衣服を元通り直す。
その行動に大いに戸惑っていると、彼は意地悪く笑みを溢した。


「どうしたんだい?続きは食事の後が良いかと思ったんだが。」
「な、何言ってるんですか…!もう、早くどいて下さ」


不意に塞がれる唇。咄嗟に後ろに下がろうとするが、反対に体は抱き寄せられて密着した。
加減された抱きしめ方にどう抵抗して良いか分からなくなる。彼女の揺れる瞳に月山はどこか困ったように笑うと、ヒカルの額に自分の額をくっ付けた。


「仲直りしよう、ヒカルさん。君の事をもっと知りたいんだ。」

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2014 10 07

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