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灼熱の地での邂逅


※アラバスタ編で、もし遭遇していたら。


「……きゃっ!…っ、やだ、やっ…」


煙の能力で捕まえて、強引に裏路地に引きずり込みその柔らかな唇を貪る。
顔も隠さず脳天気に、堂々と。こんな動乱期の国を歩いている女にスモーカーは腹がたった。
押し戻そうと抵抗する両手は感情に任せ乱暴に壁に縫い付けて、力で抑えつける。
海軍から逃げ出した癖に、こんな七武海が支配する砂漠の国でお前は何をしているんだ。
何年ぶりかに見てもすぐに解る後ろ姿。横顔。歩き方。当然だ、常に一番近くで見守ってきた少女だ。
頭はいい癖にどこか抜けているヒスイ。
何よりも自由である事を望んで消えた。
出来る事なら、この手でずっと守ってやりたかった…。
無表情だったガキから時折、こぼれるようになった笑みに胸が熱くなるのを自覚したのはもう随分昔の事だ。

──政府に利用される事に耐えきれず、逃げ出した夜。

『もう人を殺したくない。』

涙ながらにそう呟いたヒスイをスモーカーは止める術を持たなかった。


「…スモー…カー…?」


息をきらせて、震えた声がその名を呼ぶ。
彼を見据える潤んだ瞳にスモーカーはようやく身体を離した。
小さな身体を閉じ込めるように抱き締めれば、柔らかな感触は女性特有のもの。
もう骨ばった子供ではない。
細く豊かな身体と、艶めいた声が閉じ込めていた想いを、本能を煽った。


「…ヒスイ。」


更に強まる抱擁に、ヒスイは抵抗するのを止め、代わりにスモーカーの背に手を回した。


「……嘘。みたい。また…生きて会えるなんて。…スモーカー…」


乱暴な行為を咎めもせず、そんな風に、感慨深く彼女が囁くからこれ以上は手が出せない。手錠は掛けられない。ただ、愛しさを伝えて離れることしか出来ない歯痒さ。


「幸せか?」


その問いに少し考えて頷いたヒスイにスモーカーは熱くなる目を臥せた。
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2010 12 24

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