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優しい獣


※not固定ヒロイン。恋人設定です。


薄く開いた唇にキスを落とす。
明かりを落として眠りにつく前。微かな寝息を立てて眠るパウリーを見つめてヒスイはそっと微笑んだ。
一緒に暮らし始めて暫く経つが、互いに仕事のサイクルが違うため一緒には寝ていない。
部屋は別。けれど、家に帰ってきて疲れた夜は彼の隣でその寝顔を眺めていた。
大の字で眠るパウリー。仄かに木の匂いがする。
起きる様子の無い彼の枕元でヒスイは座り、その顔に、髪にそっと触れる。
掬い上げれば指先で砂のようにさらさらと滑る金髪。時折、眉を寄せる様子がとても可愛く思えた。
彼の無防備な姿を眺めるのは飽きないが、幾度かその行為を繰り返して、彼女は手を引っ込めた。

(最近、忙しくてあまり話せていないな。)

寂しさに後ろ髪を引かれながらもヒスイがそろそろ部屋に戻ろうと膝に力をこめた時。


「、きゃ!」


突然、引かれる腕。バランスを崩した体は支えを失い、パウリーの上になだれ込む。
思いきり布団にダイブした顔を、ぷは、と上げれば確かに先程まで眠っていた筈のパウリーの瞳。
起こしてしまったのか。体を退けようとすると、あっという間に布団ごと彼に抱き込まれた。


「、…むー!んむっ」


息苦しさと圧迫感で、ヒスイはジタバタ暴れるが元より力の差は歴然、大した身動きは取れない。
頭より少し高い位置で笑うパウリーの気配。


「勝手にハレンチな事した罰だ。」


そう言って布団ごとヒスイを抱きしめる彼の声は眠たそうだが嬉しそうで、彼女はつい暴れるのを忘れてしまった。
その匂いが。声が。腕の重みが愛しくて。


「だって…、好きなんだもの。少しくらい、いいでしょ。」


気づけば口をついて出ていた言葉に、優しく布団が捲られて、返事の代わりに額に口付けが落ちてくる。

愛してる。
一度抱きしめて、行為に及べば、それは止まらない波となって思考を喰らい始める。
パウリーは一度溜め息をつくと、あっさり体勢を反転させた。風呂上がりの甘い匂いに本能が完全に覚醒する。


「パ、ウリー…?ぃたっ」
「…悪ィな、ヒスイ。」


衣服を解いてパウリーは白い肌に赤い痕を残していく。待って、明日も仕事でしょう、弱々しい抵抗はあえて聞かないことにした。


「今夜は誘ったお前が悪いから黙って俺の好きにさせてくれ。」

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2011 05 04

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