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Dinosaur Planet14


「もう一度質問する。お前がどこから来たかを正確に話すのだ。」
「…バーチャル…ステーション。メディアタワー内にある…現実世界で最先端の情報機関。」
「お前達もバーチャルシステムを使っているのか。転送の変換はどうしているのだ。」
「…分からない。私はオペレーター補佐だからそこまで詳しい事は…知らされていない。」
「ではお前は何を目的に…」


淡々とした女司令官の質問は終わる事なく続いた。酷い頭痛に苛まれながらヒカルは弱々しく答える。抵抗しようにも黙秘しようとすれば更に頭痛は酷くなって彼女を苦しめ結果として答える他なかった。


「では…」
「大事な研究素材です。脳にダメージが残らないよう」


誰も見えなかった無の空間にハルが不意に割って入る。ヒカルの傍に彼が寄ると、女司令官は下がっていろと言わんばかりに片手を払った。
その時だった。大きな警報が鳴り響き、ヒカルは我に返ったよう顔を上げる。暗示にでも掛けられていたのか、周りを見れば猟兵の姿も数人あり、彼女は一度深い息を吐いた。


「…大丈夫か。」
「何とか…。気分、悪いけど………、レイ!」


顔を上げると、インカムを持ったレイの姿がパネルいっぱいに映し出されていた。まさか、追ってきたとは。ヒカルは驚きに口元を押さえる。
館内で猟兵に追われる小さな姿。助けに行かなければ。意識がはっきりしてきて立ち上がると、先程入ってきた扉からレイが無造作に放り込まれた。


「レイ!」


助けに駆け寄ろうとするが、ヒカルはハルに、レイは猟兵に押さえつけられ身動きが取れない。離して、彼女が大声を上げようとしたその時、


「ヒカル、ヒカル!聞こえますか!?」
「、アッケラ缶!インカムが直ったのね…っ」


再び通じるようになっているインカムから聞こえる声。置かれている状況は芳しくないが、彼女は素直に喜んだ。はりつめていた気持ちが少し和らぐ。
レイはインカムをヒカルの方へどうにか投げ、完全に猟兵に拘束された。


「ヒカル……ニゲテ……」
「!」


レイは言葉を理解する装置などは一切取り付けていない。しかし、確かにレイはヒカルの名をはっきりと口にした。呆気に取られたヒカルだったが、ハルの手を解こうと激しく腕を振った。


「、離して!レイに乱暴しないで!」
「大声を出すな。」


ハルは顔をしかめると、猟兵に何か命令を下す。力任せに押さえ付けられていたレイはそれによって保護カプセルに移され、眠らされたようだった。
暴れるのを止めて、改めてハルを見ると彼はヒカルを見た後、インカムの方に視線を移す。

まずい…!
そう思った時には既に遅く、床にあったインカムは台座を降りて近づいてきていた女司令官によって拾い上げられていた。
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2014 07 12

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