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Dinosaur Planet13


ヒカルは周りを囲まれて、大人しく一機のインセプターの前まで来た。途中、ハルを一度見たが彼は別の機に歩みを進めており話し掛ける事は出来なかった。自分ではよじ登る事も困難な高さに困っていると、急に体が横抱きにされる。猟兵の顔が間近に迫り、彼女は咄嗟に悲鳴を上げて目を瞑った。


「手荒に扱わぬように。貴重な研究材料だ。」


ハルが聞き取れない彼等の言葉で猟兵に話す。それがまた不安で目を開けると、猟兵はインセプターの後部座席に彼女を丁寧に降ろした。猟兵はそのまま何も言わず、操縦席に腰を降ろしマシンを手際よく起動させる。
飛行中、ヒカルは静かに眼下の景色を眺めていた。広大な原生林の遥か先。山を越えると、巨大な黒い建物が見えてくる。先日、レイを追って忍び込んだ所とは比較できない程それは巨大だった。

(ここが、彼らの本拠地…なのかしら。)

こんな巨大な設備をバーチャル大陸に造ってしまうなんて。ヒカルは何とも言えない感覚に掌を握りしめた。

機体が着陸して降りる時も、猟兵は彼女に手を伸ばしてきた。再び近づく距離に緊張するが抵抗せずに従う。猟兵は地上に降り立つと、そのまま中へ彼女を運ぼうと歩き出したがハルがやんわりとそれを制した。


「着いてくるんだ。」


ハルは解る言葉でそう告げると、彼女の前を歩き始めた。地上に降ろされて、ヒカルはパタパタと彼の後ろを着いていく。基地内の長い通路を進みながら、簡素な周囲を彼女は見回す。ハルは自分をどうするつもりなのだろうか。周りの兵士達を指示する辺り、位は上の人物のよう。自分を科学者と言っていたからまた内容が別かもしれないが。


「ここだ。入れ。」


考え込んで自分の世界に入り込んでいる内に、ハルが壁に触れて扉を開く。彼女が大人しくそれに従うとドーム型の空間の中央に兵士達とは異なる衣装の恐竜人類がいた。
紫色の肌。付けている仮面も他とは違う。
ハルが被っていたヘルメットを傍のコンソールに設置するとほとんど闇に近い照度だった室内が急に明るく輝き始めた。
部屋中の壁に設置されていたパネルが七色に煌めき、やがて光を失っていく。

一瞬その光景に目を奪われていたが、改めて部屋の中央にいた人物をヒカルが見やると、その者は席から静かに立ち上がっていた。


「翻訳プログラムも…ほぼ完成しているようだな。」
「!…貴方も言葉が」

「今からお前に尋問を開始する。」


それを合図とするよう視界が歪む。精神に染み込むよう、低い女性の声が響いてきてヒカルはその場に座り込んでしまった。…体に力が入らない。頭に響く女性の声を耳にしながら、目の前に佇む女帝のような恐竜人類を彼女は虚ろに見上げていた。
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2014 06 27

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