×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



Dinosaur Planet06


結局、走って追い掛けた小型ヘリのような機械は見失ってしまい、ヒカルはその場に座り込んだ。
アッケラ缶に大丈夫かと取り乱した様子で声を掛けられて、改めて今の現状の異常さを思い知る。


「アッケラ缶…、さっきの奴、すぐ映像解析してね。」
「ヒカル?」
「バーチャルシステムがおかしくなってるの、明らかにアレが原因だと思わない?」


むしろそれしか考えられない。ヒカルは少し休んだ後、またすぐに立ち上がると森の痛み具合を確認しながら歩き出した。機体は見失ったが、進んだ痕は残っている。
危ない連中なのは明らかだが、調べなければ帰るにも帰れない。レイも助け出さなければ。彼女は恐怖を殺して森の中を進み続けた。

また夜が来て、ヒカルは目立たない場所で体を休めた。このまま何処へ行ったか分からない彼らを徒歩で追うべきか、別の方法を考えるべきか。彼女は小さくため息をついて、目を閉じた。
その時だった。空が光り、金色に輝くタイムホールが開いた。飛行船らしき船がその光の中から現れ、東の方角へ降りて行く。ヒカルは慌てて立ち上がり、また見失うまいと走り出した。森の木々が途切れる。広大な荒れ地に現れたのは奇怪な黒い建物。映画でしか見たことのない異質さにヒカルは立ち止まり、息を呑んだ。


「ヒカル、慎重に、だよ。あの様子だと仲間がたくさんいるはずだ。」
「…了解。気を付けて行くからサポートしてね。そっちに帰るヒントも掴まなきゃ。」


ぎゅ、と拳を握り締めて彼女は静かに足を踏み出した。
建物の周りを確認すると、武器を手にした兵士らしき生物が守っている入り口と、仮面の形をした機械が守っている入り口とが二ヶ所。
先程見た相手の身のこなしから、まだ機械の方が歩があると判断しヒカルは死角から石を投げる。小石が仮面に当たると機械は点滅し始め、報告の為かその場を離れた。

チャンスだ。その隙に彼女は全速力でダッシュし内部へ潜入する。緊張の連続で、心臓は休む暇なくバクバクと音を立てていた。
――――――――――――――
2014 06 10

[ 80/114 ]

[*prev] [next#]