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ロストフレンド(シュバルツ弟)


※他ゾイドシリーズと同夢主ですが、トーマが少しヤンデレ化してます。
なのでパラレル的な感じです。若干、性的要素あり。
苦手な方はご注意下さい。


初めは何かの冗談かと思い、じきに流れる案件だと思っていた。しかしヒカルの結婚話が本格的に進みはじめてからトーマの中で少しずつ何かが壊れていった。そして愛しているのか、問えば相手の事は別段好きではないという。以前、怪我をしている間、暫く世話になった事があり、その感謝の気持ちでプロポーズを受け入れてしまったと。理解出来なかった。


「お前はそれで構わないのか。結婚するという事は、…その。子供だって出来た時、共に育てて行く事になるんだぞ。」
「…そうだね。でも、子供は私、作らないつもりよ。子供を失う事もそうだけど、子供に親を失わせたくない。…分かるでしょ?」


気弱な言葉を吐いて、ヒカルは小さく苦笑する。いつもは何でもないよう笑っているが彼女が抱えるトラウマは心の奥底に深く刻まれたままで、時間が解決などしてはいない。
相手の男はそんな事思ってもいないだろう。奴に何が分かるというのか。ずっと隣にいたのは自分だ。トーマは彼女が離れていく日がくるとは夢にも思わなかった。
胸の痛みを口にする事は出来ず、トーマはその時素っ気なく返事を返した。おめでとう、とは嘘でも言えなかった。

飲み物に薬を少しだけ混ぜて、トーマは容易くヒカルを空き部屋に連れ込んだ。彼を信頼しきっている彼女は医務室に連れていくと告げて体を抱えあげたトーマを微塵も疑うことなく身を預けた。


「トー…マ、ごめん…ね。なんだか気分が…」
「喋らなくていい。」
「トーマ…?」


大きめのソファに降ろして、きっちり締められた首もとを緩める。日の当たらない箇所の肌は白く、脱がせた上着をテーブルに放ると、腕の所々に薄く傷跡が残っていた。訓練時についたものだろう。労るようそれをなぞる。
トーマの目をみて、彼女は漸く異変を悟る。普段は穏やかな緑の瞳が今日は嫌に暗く、ここへ来て欲に駆られていた。距離をおこうとするが力が入らない。何故。満足に抵抗も出来ぬまま衣服を脱がされて不思議に思う。夜、二人で分析室に泊まり込んでも今までこんな事は一度もなかった。
今更ながら戦慄した。

トーマの事は好きだ。誰より信頼もしている。
だから体に唇を寄せられて嫌ではない反面、混乱は大きくなるばかりだった。


「トーマ…、何で?私、結婚、…するって…」
「なら解消すればいい。お前は間違っているからな。」
「…ん、」
「俺の隣を離れて、笑っていられるか?断っておくがこれはセックスが目的ではない。ただ、既成事実をつくる点では違いないがな。」


赤い顔で口付けてくるトーマにヒカルは少し涙が出た。歯がぶつかって唇から少し血が出る。拙いのはお互い様で、慣れないことに心臓は飛び出しそうなくらいドキドキしていた。
ただ先程まで恐怖が大きく占めていた心はトーマが時おり話す声と表情で少しずつ解けていく気がした。


「…トーマ、あの…私、」
「大丈夫だ、俺も慣れてはいないが、…ゆっくりする。痛かったら俺にしがみついていろ。」
「痛いのはいい…我慢出来る。でも、」

「俺だけを見てくれ。ヒカル。今はなにも考えず、俺を感じてくれればいい。」


愛してる――俺は、お前を愛しているんだ。
切なげな吐息が聞こえたのと同時に、素肌を滑る手が下へ降りていく。ちゃんと聞きたい。こんな朦朧とした時でなくもっと意識がはっきりした時に目をみて聞きたい言葉だった。


「……トーマ、…待って……ねえ、やっぱり待っ………、」


私の気持ちも聞いて。譫言のように繰り返す言葉を遮るように、トーマの手は性急になり彼女は叫ぶことしか出来なくなった。

いつからだろう。とっくに愛していた。
でもその気持ちを伝える気はなかった。
どれだけ近く、側にいても、住む世界は違うと決め付けていた。


「私達、友達のままじゃ駄目だった…?」
「…構わなかったさ。だが、俺はもっと早くお前を縛るべきだった。」


友人というものがこうも容易く隣から消えてしまうなら。トーマが甘噛した痕がじわりと疼く。ヒカルは自分から彼の首に腕を回した。頬を寄せて、囁く。

―――私、幸せで今、消えてしまいたい。

それは互いが一番の友人を失った日。
―――――――――
トーマの初体験は好きな女性ではなく、事務的な講師とかが相手。家の教育の一環で済ませているイメージ。本編トーマはヘタレ紳士だからこんな強引な事はしません。でもこの後、バン辺りにやっとくっ付いたのかよとかさらりと言われて照れ怒りしてたらいいと思います。
2016 05 21


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