3日もいらない。が私の中の感想だ。
1日目で情報、そして居場所も突き止めた。いやだって、昔から麻薬やらなんやらで結構有名だったしジョルノが始末するならそろそろですね。なんて言っていた人物だ、そりゃ他のギャング達だって、狙うだろう。
しかし、そんなこと知っているなんて知られたら、良くないことが起きる。わたしがパッショーネの一員だってことは、上層部しか知られていないわけで…
いや、待てよ。上層部にも果たして知られているのだろうか。分からないけれども、この軍隊みたいに統括されて規制されているヴァリアー中に広まるわけにはいかない。

今回は、念入りにい。周りも調べておこう。
そうして彼女は再び闇に消えていった。後ろの偵察している気配を撒くことも忘れずに。







3日目の夜のことだった。
彼女は、ターゲットの首を綺麗に黒いビニール袋につめてサンタのごとく肩に背負ってS,スクアーロの部屋に訪れた。暗殺自体は簡単だった。排気口から侵入して、一瞬で首を飛ばしてきたのだから。私のスタンド、マドンナは瞬間移動のできるスタンドだ。しかし、瞬間移動をしているとき私もしっかし進路を見定めないと、私自身も吹っ飛ばされてしまう。以前、瞬間移動をしている際、通り道にそナイフをかざされてしまい、気づけば腕が無かったとかあるからである。これは最近やってしまって初めて気がついた。ジョルノが居て本当に助かった。なければお陀仏だっただろう。


ノックして、少し間を置いて扉を開けた。
きっと返事があるまで、あけてはいけないのが社会の常識なことは頭の片隅はある。ヴァリアーのような場所では尚更。





「てめぇ、勝手に入ってくんじゃねぇ」

殺しちまうだろ、なんて物騒な言葉を私に投げつけてきた。
扉あけただけで、殺しちゃうなんて。たしかに私が返事を待たずに扉を開けたから、彼がこう言っているのだろう。しかし物騒な組織だな、なんて思ってしまってから気がつく…あ、昔、リゾットもやってた。しかし彼は忠告もなしに開口一番メタリカ。
拳銃うぃ突きつけられたとしても私は死なないし、私は報告をして部屋に戻りたいのだ。こんなことに一々つきあってらんない。





「もうすぐ、期限の3日なので焦ってしまいました。これをどうぞ」

ふふっと笑って首を彼の机に置いた。
彼もその黒いビニール袋から、臭う血で何が入っているのかすぐに理解した。そしてとても嫌そうな顔をして私を見る。私の肩が軽くなる。人間の頭、一つ分の重み。そう、ターゲットの首だ。
別に首を置かなくとも、よかっただろう。もしも、首をここに置かなければ今日の朝刊で、首なし死体のニュースが流れず、殺人鬼が出た、と。そういう見出して世界を震撼させることもなかっただろう。





「う゛ぉおい。本当にやってくるとはぁな」

そうして、私の首めがけて剣を突き出す。
キッと音ともに自分のナイフを盾代わりにする。一瞬の出来事だった。マドンナを出していなければ、きっと死んでいた。
さっき、死なないとか奢って居たのは嘘だった。あ、死ぬって思える程に彼の剣裁きは見事だ。ポルナレフさんが全盛期だった頃ってこれくらいだったのだろうか…と思ってしまうくらいに。





「てめぇ、どこのもんだ」
「今は、ただのヴァリアーの下っ端ですよ」

幹部、S.スクアーロ。きっと彼はのちのち聞かされることになるだろう。
私が、パッショーネの暗殺チームだということを。むしろ9代目スカウト枠ということも聞いていないのだろうか。そっちの方が気になってしまう。どちらにしろ、調べたところで今出回っている情報は諜報チームが私の情報と言う情報を全てもみ消したり、物理的に消したりしたのだから、調べても出てくるはずが無いのだけれども。ディアボロというボスの素性を隠したまま、ずっと活動してきたギャング。その辺のギャングと比べてはいけないくらいの情報操作は難なくやるといった徹底具合を見せるだろう。





私の情報はこう、流れているはずだ。

「9歳の時、父に娼婦館に売られました。そこで過ごしながらいつか父を殺すためだけに、ここまで居る。たまたま、相手をしたのがボンゴレで。そこからたまたまスカウトを貰ったただのヴァリアー下っ端ですよ」

狂気を孕んだ目で彼女はそう伝えた。


「俺の剣を、見切っただろ」
「常に、殺されるかもしれないって気持ちで居るからじゃあないですか」
「………………」
「ずーっとそうやって生きてきた。これからも。安心して寝るために私は上に這い上がるので、よろしくおねがいしますね」

無言が続いた。
そんな静寂を破ったのは彼だった。
机の横にある引き出しから鍵を取り出し、私に投げつける





「こいつが、てめぇの新しい部屋だ」

ありがとうございます、と片手で鍵を受け取り、またふふっと笑ってその場を出た。
きっと彼は不服だったのだろう。私が居ない間に調べあげたのかもしれない。私の素性を。それは身近にいるボスしか知らない情報を求めて。でる瞬間までは、私は自分を大きく見せよう。舐められたらだめだ


ガチャン、と扉がしまる音がする。

出た瞬間、冷や汗と手の震えが一気にでてきてしまって少し焦った。
彼は、かなりの手だれ。そして、彼に似た戦闘スキルを持った人間がまだ数人居るのだろう。なんて恐ろしい組織なのだろうか。私はこんな場所で、名声を上げるとこが可能なのか。いや、やるしかないんだけども。

とりあえず、冷や汗でびちゃびちゃになってしまったインナーを脱ぎたいと思い私は新しい部屋の鍵を握って長い廊下を歩いていった。




そして次の日、騒がれることになる。









新入隊員が異例の出世。下っ端から3日で、私は雨部隊に移動になった。
高そうな大理石できた床をかつかつと歩き、ホールに繋がる高そうな重い扉を押し開ける。
開けると、雨部隊所属と思われる人たちがずらり、と並んでいる。30人はざらに居る。もしかしたらもう少し居るのかもしれない。その先に肘をつけて傲慢な態度で座っている、S,スクアーロ。雨部隊の隊長は、もちろん喧嘩を売ってしまった作戦隊長のS,スクアーロだという事が一目で分かった。やはり、な。でも、これを狙っていた。こう言う風に目を付けてもらえば、チャンスは何度だって舞い込んでくるだろう。地道にコツコツやるなんて、まっぴらごめんだ。私は、やらねばならないのだ。きっとボロを出してしまって殺されてしまうリスクも相当なもの。

さっさと、幹部候補までさっさと、昇りつめてやろう。




「てめぇは俺がびっちり見ててやるぜぇ。」
「本当働き者ですね。本当にイタリアーノですか」
「言わせておけば、言いたい放題言いやがってかっ捌くぞぉ」
「ふふ。ぶっ殺す、と心の中で思ったら、その時既に行動は終わらせるものですよ」

にやり、と笑う。
その瞬間、四方八方から雨部隊のぴりぴりした視線を受ける。
彼はまんざらでもない、といったような顔をして鼻で笑った。


「てめぇ…よほど殺されたいようだなぁ」
「逆に、此処であなたを倒せば、私は幹部になれるのかしら」

あえて煽る。だから私は潜入捜査に向かないのだ。直ぐキレてしまう。吠えてしまう。自分の本当の感情を相手に悟らせないために。

彼は大声で叫びながら剣を突きつけてくる。

それを軽々と、最低限の動きだけでかわす。

マドンナが居なかったら私、死んでいるなぁと脳内では違うことを考えながら避け、ふと彼が私のスピードに対応してきていることに気がつく。彼の剣さばきは人間業じゃあない。しかも、ものすごい動体視力。そして適応力。こいつ、スタンド使いか。しかし背中にいるマドンナに対して何も反応していない。どういうことだ。




「考え事なんて、余裕だなぁ。まぁいい。今日からこいつと仲良くしてやれよぉ」

以上、と言って彼は剣を下し、私の横を通るときに、気をつけろよ、なんて言いながらホールから出て行った。
残された私は、雨部隊の嫉妬興味の視線を更に強く向けられる事になる。
ただ言えることは、私だって一端のギャングだ。馴れ合う気など、ない。



「よろしくお願いしますね、先輩がた」

さっさと、地位も抜いてやるけどな。
そんな言葉を言うつもりはなかったが、聞こえたのだろうか。ぶわっとした殺気が私を襲い、精々死なねーようにな後輩ちゃん、よぉ。なんて悪役のような顔つきをして捨て台詞を吐かれ彼らは出て行った。





私もさして、気にする様子もなく。
また重い廊下を出た。明日から、きっと任務漬けの日々なのだろう。












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