ランチを食べて、ゆっくりと椅子に座って新聞を読む。
あー…また、こいつらの中で誰か有名人でも殺したのだろうか。死因はどれも綺麗な心臓マヒのオンパレード。
分かると思うが、プロシュートが今回もまた綺麗な死因を作り上げたようで。
そういえば昔、電車の中で乗車客全てを老人にして、脳卒中だの心臓マヒだので全て済ませた事件が起きたな、なんてふと思い出した。あのときは、乗客の中に前ボスのディアボロが紛れ込んでいるという情報だけで皆殺しにしちゃった事件。あれをもみ消すのに何億飛んだことか。私の財産の半分が消えたと思う。みんなの財産も相当減ったとおもうけど。





そんな思い出にふけっていると肩をたたかれる。


「暗殺者、失格だぞ」
「首にナイフがあたっても、発砲されても私、いざとなれば避けられるし」
「……そうだな」

リゾットが漸く任務から戻ってきた。珍しくスーツを着込んでいるリゾットの様子を見ると、きっと本部に行ってきたのだろう。
さすればきっと、ジョルノから少し話くらい聞いているのだろう。
その証拠に私への視線が不安と心配がおり混ざったものを向けてくるのだから。



「リゾット、私ね。一世一代の任務なの」
「ジョルノからあらかた聞いている。お前に務まるのか、それは」

彼は何の迷いも無く、視線をまっすぐ私に向けて痛いことを聞いてくる。
私だってそう思う。ジョルノは知らない私の潜入任務のセンスのなさ。
性格に難あり。ギアッチョほどではないが、売り言葉にはいつも買ってしまう。売られた喧嘩、買う前に殺しちゃおうが私の標語と下っ端達に恐れられていた時期もあるくらい。それに、この任務に対しての私の抱える心情もリゾットは知った上で聞いてくるのだ。


「わかんない。でもやるしか無いの」

やりたくないの。でも仕方が無いことなの。私に務まるか分からないの。
でもね、私やってやるわ。暗殺チームでも、仕事奪われすぎて最近暇を持て余してしまっている面々もある理由とか同業者の傾向を知りたい。
そして少しでも暗殺チームの環境が良くなればいいと思っている。
ディアボロが失脚させられてから、待遇はかなり良くなった。しかし、最近は同業者が力を上げてきたお陰で仕事が少ない。


「それに、独立暗殺部隊がどの程度のものか、知りたいし。しっかり見ていざとなったら皆で潰しちゃおうね」
「ジョルノの意思に反してか」
「私たちが乗っ取っちゃうっていう手もあるかもね」
「そうしたら、メローネ達は手が本当につけられなくなりそうだ」

彼のせいで、暗殺チームは私以外の女が居ないくらいなのだから、きっと何千人も部下が居たりしたら多分兵器生産場になるに違いない。
リゾットがそういう考えをしていたのかどうかはわからないが、ふっと笑うと私の頭をなでた。
イタリアーノはだから困るんだって。私、イタリアーナだけどもそういうの慣れていないの。恥ずかしいじゃあないか。


「お前なら、やってのけるさ」

リゾットほどの暗殺者に、認められていると受け取ってもいいのだろうか。
だとしたら、私は絶対の自信を持っていける。
この言葉だけで、やりきれるかもしれない。
同盟さえ結べれば、私は自由の身になれるのだから。彼らとまた一緒に過ごしたい。ずっと、は無理かもしれないけれども私が生きているうちはもっと彼らに背中を預けたい。



「しんみりしちゃった」

今までの、ディアボロがボスだった時期の暗殺チームはもっと殺伐としていた。
死んだらそれまで。みたいなところがあったし、それ以上に誰もが誰とも関わろうとしていなかったように思う。
しかし、ジョルノがボスになってからは少し変わったようだ。ディアボロ暗殺計画を企てた時から、本当の仲間意識を持ったのかもしれない。


「…そうだな」
「でも、ありがとう」

私、今の暗殺チーム好きだよ。
本当は離れたくないし、ここでゆっくり過ごしたい。でも、パッショーネを立て直して、暗殺チームをこう改善してくれたジョルノにお礼をしなきゃ。
幹部の私が身を以てやらなくてはいけないだろう。


「ああ、行ってこい」

リゾットは、昔みたいにディアボロと戦う前の私に対して同じ言葉を言った。



「行ってきます」




私は、こうしてパッショーネから姿を消す事になった。
荷物は、数枚の洋服と貴重品。通信用品やパッショーネだと分かってしまうものは全て置いていく。
やるなら、徹底的に。












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