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「もう絶対に学校で妖怪の話なんてしない!
立派な…
人間になるんだ!」
唐突に通学路でリクオが宣言する。
「まーた言ってる。リクオは人間だよ」
「だよね!」
「妖怪でもあるけど」
「なっ」
聞くたびにマフィアのボスに成りたくなかった頃の自分を思い出す。
結局、仲間を守る為とそうなることを決めた。
後悔はない。
だからこそ前世の自分と何処か似ている境遇のリクオには自分の意思で決めて貰いたい。
まだ、時間はあるのだから両方の可能性をと。
「わっ」
何かと勘違いしてリクオに振り回された鞄にぶつかりそうになった家長カナを助ける。
「危なっ。平気?カナちゃん」
「うん。
………リ…リクオ君〜〜…?
なんの…つもりなの〜〜…」
「カッ…カナちゃん!?」
「私を…殺す気!?」
「そそんな…ゴゴメンなさい!!」
「ダメだよリクオ。女の子には優しくしないと」
島二郎がリクオにタックルする。
「おはよ〜奴良〜〜どーしたんだよ。朝っぱらからケンカかー?」
「気にしなくていいと思うよ」
「そーか。なぁ奴良、アレやった?アレ〜」
「え〜?何だよ〜?」
島に甘えられるように聞かれ、リクオはノートを差し出す。
「なーんて、もちろんだよー!!」
「うおーすげー。あとさー…悪いけどさー」
「あ!ハイハイ!まかしといて!!お昼も買っとくから!!ヤキソバパンとジュースね!」
「わかってんじゃーん。
奴良〜〜ほんっとお前良い奴だよな〜
そーゆーとこ好き」
「う〜ん。リクオくん感じ変わったなぁ」
「なんか立派な人間に成りたいらしいよ……間違ってる気がするけど」
カナと話していると学校からチャイムの音が聞こえてきた。
「あ…いけない。普段と違う道だから遅くなってる!」
「行こう!奴良くん!ツナくん!」
「あれ…?いつもはこの道じゃないの?」
「だって…下足箱に近い裏門から入ると近いんだもん…」
「え?」
「何でもない」
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