7
試験の始まる時刻よりだいぶ早く着いたというのに、既に会場には4、50人ほど人が集まっていた。
渡された番号札から受験者は今のところ綱吉を含めて45人だと分かる。
新人だの弱そうだの子供だの不躾な視線を無視して壁際に寄りかかる。
綱吉からしてみれば、現時点で一名を除いた他の念すら覚えていない受験者たちの方が遥かに実力が低く見える。
屈強そうな見た目であってもそれが強いということには繋がらないことを知っている。
それは綱吉の元の世界でも同じだった。
綱吉はこの世界の住民ではない。
三年前に理由も分からず、余りに突然にこの世界に跳ばされてしまっていた。
唯一の手がかりはその手に着けているブレスレットだ。
元の世界で全ての銀の輪に宝玉が着いていたそのブレスレットを偶然拾った次の瞬間にはこの世界にいたことから原因がそれであることは間違いないだろう。
そして、この世界に到着したその直後に全ての宝玉が何処かに飛んで行ってしまったから、それを集めている。
全てが集まれば元の世界に帰れると決まった訳ではないが、綱吉はその可能性を信じている。
大事な仲間達と再会するためにも決して諦められない。
そのためになら、なんだってしてみせると覚悟している。
[←] [→]
back