混合短編 | ナノ




3

目の前のこの男は念能力者だ。

それも相当の使い手でそんじょそこらの人間では、否、それなりに強い人間でも歯が立たないだろう。

それに加えてこの男はむしろ好んで殺人を犯すタイプのように思える。

だいぶタイプは違うが綱吉の先輩である風紀委員長のような戦闘狂であり、常に強い相手を望んでいる厄介な人間だ。

それと同時に嘗ての宿敵、全世界の支配者となることを望んでいた青年のように極端に退屈を嫌い、その為に何事でも成し遂げてしまう迷惑な人間だ。

それが一言二言交わしただけでひしひしと伝わり、今年のハンター試験は一波乱も二波乱も起きそうな気がすると綱吉は心の中でため息をついた。


「じゃあ行こうよ」
「え」


男は綱吉の後ろにある戸をさっさと開けて中に入り、綱吉が来るのを待つ。

え?一緒に行かなきゃいけないの?

正直こんな危険人物と一緒に行きたくないと迷惑だと態度で示すが男はスルーする。

仕方なしに綱吉は男に続き店に入り、定食屋の主人に目を向ける。


「ステーキ定食を二つ下さい」
「あいよ!焼き方は?」
「弱火でじっくり」


この店に飾られているメニューの札にステーキ定食なんてものはない。

今回のハンター試験のための合言葉だ。

店員の指示に従い進むとぽつんとテーブルと椅子だけが置かれた部屋に案内された。


「では頑張ってきて下さい」
「はい」


目の前にステーキを出し店員が部屋から出ていくとエレベーターだったらしく部屋が下がり始めた。



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