混合短編 | ナノ




6

両手の籠手と額が吹き出る炎はおそらく念を変化させたものであろう。

変化系能力者という言葉が頭に浮かぶのに、同時にそれを打ち消すような状況が目の前にある。

オーラが駄々漏れのままであるのだ。

まるで、炎と念には何の関係も存在しないと、纏も絶も練も周も隠も凝も堅も円も硬も流も知らないと言わんばかりだ。

世の中には念を知らずに発だけを扱えるという特殊な例も幾つかあるが、その場合大抵において何かしらのサポート能力だったりするか、仮に攻撃的な能力だった場合でも実際にまともに念を扱える人間と比べれば遥かに弱い。

けれど、この少年はそれに当てはまらない。

念を炎なんてものに変化させるにはいったいどんな修行を、しかもあんな小さい内から積んだかは知らないがあれほどの威力ある力を扱えているのに、念を知らないだなんてあり得ない。

しかし、その少年はそのあるはずがないことを実践しているのかもしれない。

言いきれないのは、少年がフランクリンの念攻撃を避けきったからだ。

純粋な念弾である彼の攻撃は念能力者にしか見えない。

それを少年は一度ならず何度も避け、挙げ句の果てにマントを具現化し攻撃を受けきった。

……やはり、オーラは駄々漏れなままに。

あり得ない。

あり得てはいけないことだ。



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